目を開けた瞬間、世界がぐるぐる回り出した。
たまらず目を閉じると、額にひんやりした柔らかいものが置かれた。

「熱があるのですよ。大人しく寝ていて下さい」

「赤屍さん……?」

「はい、ここにいますよ」

唇が重ねられ、カラカラに渇いた口の中に冷たい液体が流れ込んでくる。
何度かそれを繰り返してもらって喉が潤うと、赤屍さんの顔が離れていった。

「この寒暖差で体調を崩したのでしょう。職場には連絡してありますから、今日はゆっくり休んで下さいね」

「ありがとうございます……」

ああ、急に休んでしまって職場の人には迷惑をかけちゃったな。
あの仕事、大丈夫だろうか。今日やるはずだった仕事は

「ダメですよ。いまは何も考えずに眠って下さい」

「はぁい」

「お粥を作っておきますから、起きたら食べましょうね」

「寝るまでずっと側にいてくれますか?」

「ええ、今日はずっと貴女の側にいますよ。だから安心して眠って下さい」

私はほっとして身体の力を抜いた。
ふわふわとした綿に包まれているようで安心する。

たまにはこんな日があってもいいよね。

起きたらいっぱい甘えよう。

そう思いながら私の意識は眠りの中に沈んでいった。



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