熱すぎず冷たすぎず。
丁度良い温度のシャワーを浴びて、ほうと息をつく。

「気持ち良いですか?」

「ん……」

私の身体を抱っこして、ボディソープを泡立てたスポンジで洗ってくれている赤屍さんに、頷いてすり寄る。
常人より体温の低い大きな身体に抱かれていると不思議な安心感があった。
それは守られているという感覚。

肌の上を優しく滑るスポンジの感触が堪らなく心地よい。
こうして赤屍さんに身体を洗ってもらうのはもう何度目になるだろう。
初めは恥ずかしかったのに、いまではもうすっかり慣れてしまった。

赤屍さんは素敵な人だ。
カラスの濡れ羽色をした長めの黒髪。
涼しげな切れ長の瞳。
鞭のように引き締まった体躯。

そんな人に、私は愛されている。

幾つも赤い痕が刻まれた身体を洗われながら、愛おしむような視線が注がれているのを感じているのは幸せな時間だった。

愛されている、と実感出来る、幸福な時間。

「赤屍さん、大好き」

首に腕を回して引き寄せてキスをすると、クス……と笑われた。
その切れ長の瞳に情欲の炎が浮かぶのを見て喉を鳴らす。

「貴女は私を煽るのが実にお上手だ」


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