夕暮れどきには、何故か郷愁にも似た思いにとらわれる。
帰りたい、と感じて、どこに?と自問自答することになる。
泣きたいような、切ないような、不思議な気持ち。

「そろそろ中に入りましょうか」

蝉時雨を背に赤屍さんが微笑む。

いまは、この人がいる場所が私の帰る場所だ。

私は赤屍さんと手を繋いで別荘の中に入って行った。


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