「おはようございます」

「お、おは、ようございます」

思わずどもってしまった。
それもそのはず。
寝起きの頭はまだバグっていて、現状を把握出来ていなかったためである。

「覚えていませんか?昨夜、仕事を終えた貴女をこの別荘にお連れしたのですよ」

思い出した。

仕事を終えて外に出たら赤屍さんが待ち構えていて、そのまま車に押し込められて半ば強引にこの郊外の別荘に連れて来られたのだ。
昨夜は何か考える余裕もなく、シャワーを浴びるとすぐに寝てしまったのだった。

「パンケーキを焼いたのですが、食べられますか?」

「いただきます」

お腹がぐうと鳴るほど空腹だったので、即座に答えたが、赤屍さんが運んで来たのはパンケーキだけではなかった。
プレーンなオムレツに、付け合わせとしてベーコン、ハム、ソーセージが乗ったお皿と、ミックスベリーが目にも鮮やかなヨーグルトとサラダが一緒に運ばれてきた。
まるでホテルのブレックファストだ。

「どうぞ召し上がれ」

「い、いただきます」

ベッドに半身を起こした状態で、トレイに乗せられた朝食を食べ始める。
赤屍さんは何が楽しいのか、紅茶のカップを手に傍らに座り、そんな私の様子をにこやかに見守っていた。

「食べ終えたら少し食休みをした後でお風呂に入りましょう。貴女の好きな入浴剤を用意しておきました。ゆっくり湯に浸かって疲れを癒して下さい」

「ありがとうございます」

「上がったらマッサージして差し上げましょうね」

ここは天国か。


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