「おはようございます、なまえさん」

「おはようございます、赤屍さん」

同じベッドで目覚めた朝。
私は少しだけ照れくさくて、布団を顔まで引っ張り上げた。
赤屍さんが優しく髪を撫でてくれる。

「疲れたでしょう。月曜日からずっと忙しかったですからね。今日はゆっくり休んで下さい」

「ありがとうございます」

私の旦那さまになる人がこんなにも優しい。
私は感動に打ち震えていた。

「朝食を作って来ましょう。何が食べたいですか?」

「オムレツが食べたいです」

「わかりました。すぐ用意しますから、その間にシャワーを浴びて来て下さい」

「はあい」

赤屍さんが寝室から出ていくのを見届けて、私はバスルームに向かった。

熱いシャワーは疲れた身体に心地よく、汗や汚れと一緒に疲労まで洗い流せた気がした。

「お待たせしました」

バスルームから戻って来た私を、食欲を誘う良い香りと共に赤屍さんが迎えてくれる。
ベッドに座るように促され、腰を降ろすと、背中にクッションを挟んでから赤屍さんは朝食の乗ったトレイを膝に乗せてくれた。
チーズオムレツとソーセージにサラダ、ベリー系のフルーツが乗ったヨーグルトに、桃のババロアまである。

「さあ、召し上がれ」

「いただきまーす」

ぱくぱくと朝食を食べていると、不意に赤屍さんに口の端にキスをされた。

「ヨーグルトがついていましたよ」

「ありがとうございます」

「おや、こちらにも」

「ん、んん、」

赤屍さんに唇にキスをされる。
本当にヨーグルトついてたのかなあ。

クス、と笑った赤屍さんが、桃のババロアをスプーンで掬って差し出してきた。

「はい、あーん」

「あーん」

朝食もデザートも美味しいし、旦那さまになる人がこんなにも素敵だなんて幸せな土曜日だ。

結婚したらこれが毎日のことになるのだから、素晴らしい。

「早く赤屍さんと結婚したいです」

「私もですよ。可愛いひと」

でも、その前にと赤屍さんが笑う。

「赤屍さんではなく、蔵人と呼べるようになって頂かなくてはいけませんね」


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