ほんの一瞬、何が起こっているのかわからなかった。
しかし、状況を把握した途端、どっと冷や汗が吹き出し、勝手に足が動いていた。

赤屍蔵人によって、心臓の上辺りにメスを突き立てられている零さんに向かって。

「零さ──」

「FREEZE!」

制止の声にびくっと身体が反応して動きを止める。

「それ以上一歩でも近づけば彼の命はありませんよ?」

「そ、そんな……!」

「このメスの切っ先は降谷くんの心臓大動脈からコンマ5ミリほどの位置にあります。今は出血はおろか痛みさえありませんが──貴女が少しでも動けば大動脈は切り裂かれ彼は即死するコトになります」

どうしよう。どうすればいい?
目まぐるしく思考が駆け巡る。
誰か、そうだ、誰かに助けを求めれば──

「おっと、助けを呼ぶのもやめたほうがいい。戦闘を仕掛けられた瞬間、指先の筋肉が収縮してその気がなくてもメスが大動脈をえぐってしまいますよ?」

「くっ……殺すならさっさと殺せ!」

零さんが悔しそうに叫ぶ。
彼にとってはこれ以上ない屈辱だろう。

「それでは愉しくないでしょう。あくまでも彼女に選択させるのが目的ですから。貴方は大人しく見ていて下さい」

「ど、どうすればいいんですか?」

「簡単なことですよ。降谷くんではなく、私を選んで下さい。貴女が私と結婚すると……私との永久の愛を誓って下されば、すぐにでも解放してあげましょう」

「そ、それは……」

「ダメだ!この男に従うな!」

「零さん……!」

──零さん。零さん。
こんな馬鹿げたことで、日本の宝である零さんを失うわけにはいかない。
私の選択ミスで、この国の平和のために尽くしている日本屈指の捜査官である降谷零を失うわけにはいかない。
私の愛する零さんを。

「やめろ!やめてくれ!俺のために君が別の男と結婚するなんて耐えられない!君を愛しているんだ!」

零さんの悲痛な叫びが胸に突き刺さる。

「選ぶのは貴女だ。さあ、選択して下さい。私と結婚するか、それとも彼の死か」

私は覚悟を決めた。

「私は……」


  . \:/
 ・・・・愛・・・・
.   ,,. ∩.\
(*六∀・)/ 君の愛の一票、
.(つ  ノ  どちらにあげますか?
.しーJ

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