──なんだろう。
いつもより布団が狭い気がする。
それに、なんだかあたたかいものがぴたりとくっついている。

「おはようございます」

「ひっ」

フョードルさんだった。
フョードルさんが私の布団の中に入り込んでいる。
じたばたして逃げ出そうとするが、フョードルさんの腕が身体にがっちりと巻き付いていて離れない。

「逃げないで」

切ないような声音で囁いたフョードルさんが私の耳にキスをしたものだから、私はますますパニックに陥ってしまった。

「大丈夫です。優しくしますから」

「全然大丈夫じゃないです!」

「痛いほうがお好きでしたか」

大きな手の平でお腹のあたりをまさぐられ、私は声にならない悲鳴をあげた。
耳に触れた唇が、吐息混じりの笑い声を漏らす。

「た、助け……」

「誰も来ませんよ」

助けを求める言葉をフョードルさんは容赦なく切り捨てた。

「憂鬱な水曜日を楽しくして差し上げようという、ぼくの配慮です。楽しんで下さい」

「無理です!」

あっ、あっ、だめ。
おっぱい直に触らないで。揉まないで。
そこだめえ!

「可愛いですねぇ」

私の身体が反応し始めたのが嬉しいのか、フョードルさんは楽しそうだ。
楽しんでないで退いて下さい!

「ぼくのものなって下さい。出来れば無理矢理ではなく、貴女の同意が欲しい」

「ふぇ……」

「ね、優しくしますから。いいでしょう?」

「やっぱりだめえー──!」

私は渾身の力でフョードルさんの身体を引き剥がした。

……やだ、どうしてそんな悲しそうな顔をするんですか……。

まるで私が悪いことをしてしまったみたいじゃないですか。

「あ、あの……」

「貴女の気持ちはよくわかりました」

「フョードルさん?」

「ぼくの想いを受け入れられるように、少々調教する必要がありそうですね」

フョードルさんの笑みを見て全身総毛立った。
あ、これダメなやつだ。

「まずは貴女を攫うことにしましょう。誰も知らない場所に囲って、毎日愛でて、ぼく無しでは生きていけない身体にしてあげますよ」

「ふえぇ…!」

再びじたばたして逃げ出そうとするが、フョードルさんは今度もがっちりと私を抱き締めて離さなかった。


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