「チョコレートでジェンガしたら楽しそう」

それはほんの思いつきで言った言葉だったのだが、骸は本当にチョコをジェンガ状に積み上げてしまった。

「それでは、交互に引き抜いていきましょう。先に山を崩したほうが負けです」

言いながら骸がチョコを引き抜く。
続いて私もチョコをひとつ引き抜いた。
まだまだ安定感があり、崩れそうにない。

「昨日の『純黒の悪夢』面白かったですね。カットだらけだったのは残念ですが」

骸がチョコを引き抜く。

「そうだね。エピローグないと後味悪い終わり方になっちゃうからね」

私もチョコを引き抜く。

「僕はエンドロールの時に赤井秀一が安室透を出待ちしているところが好きです。あれは、安室透の無事を確認してたんですよね」

骸がチョコを引き抜く。
だいぶグラグラしてきた。

「赤井さん優しいから」

私もチョコを引き抜く。
あ、いまのはちょっと危なかった。

「僕も彼は男前だと思います。まあ、僕には敵いませんが」

骸がチョコを引き抜く。
かなり際どい感じになってきた。

「でも、安室さんのほうが人気があるんだよね。ゼロの執行人で『安室の女』が大量発生したらしいから」

私もチョコを引き抜く。
かなり厳しい。

「今年の赤井家の映画で『赤井の女』が増えるかもしれませんよ?」

骸がチョコを引き抜く。
あっ、なんでそんなとこ取っちゃうの。

「君の番ですよ」

骸が不敵に笑って言った。
チョコの山はもうこれ以上ないほどグラグラしている。

「ちなみに、君が負けたら、今日はメイド服を着て騎乗位でご奉仕してもらいます」

「やだぁー──!」

「クフフ……さあ、早く引き抜いて下さい」


 戻る 

- ナノ -