本丸で流し素麺大会をやることになった。 発案者は光忠だ。 「流し素麺をやってみようと思うんだけど、どうかな?」 という光忠に、大賛成の意を示したのは主に短刀達。 どうやらネットの動画を見てからずっとやってみたかったらしい。 そんなわけで、必要な竹の筒は、一期と彼の弟達が裏の里山から切り出してわざわざ作ってくれた。 「すげぇ!これで流すのか」 「早く食べたいな」 「待て、待て。主が先だ!」 「そんな、私はみんなの後でいいよ」 「僕も長谷部くんに賛成だよ。まずは、君に食べて貰いたいな」 「光忠がそう言うなら…」 今回の発案者だからね。 意見は尊重しないと。 私がそう思っていると、みんな何故かニヤニヤしながら私達を見ていた。 「ほんと、燭台切は主に甘いよな」 「長谷部さんより甘やかしてますね」 「熱々だから見てて暑くなってきちゃう」 赤くなる私の隣で、光忠がにっこり笑う。 「僕が主に甘いのは当然だろう?大好きなんだから、仕方ないさ」 「み、光忠…!」 「さあ、主。早く用意して」 「ハイ」 光忠に促されて竹筒の前にスタンバイする。 「じゃあ、流すよ」 光忠が茹でて水切りした素麺を上から流した。 竹筒を通って流れてきたそれを箸でキャッチして、麺つゆを入れた小鉢の中に浸けて、ちゅるちゅると食べる。 「うん、美味しい!」 「良かった。主に喜んで貰えて嬉しいよ」 「光忠…」 見つめ合う私達を見て、みんなやれやれという顔をしていたが、仕方がない。 何しろ私達はラブラブなので。 その後は、みんなでわいわいと楽しく流し素麺大会を楽しんだ。 |