「君は」

憂いを帯びた降谷さんの美しい顔が至近距離から覗き込んでくる。

「俺を弄んだのか?俺の気持ちを知っていて、こんな真似を?」

彼に押し倒され、上から覆い被さる形で身動きを封じられた私は、せめてもの抵抗のつもりで顔を横に向けたのだが、そうすると降谷さんのサラサラの髪が頬や首筋をくすぐって、何ともいたたまれない気持ちになった。

「も、弄ぶなんて、そんな…」

「じゃあ、何故、赤屍蔵人が1位になっているんだ。君が一番好きなのは俺だと思っていたのに」

「降谷さん…」

悲しそうにそう言われては、ぐうの音も出ない。

「君は誰にも渡したくない。渡さない」

「降谷さっ、んん!」

堪えきれないとばかりに情熱的に口付けられて、抵抗する気力を奪われていく。

「頼むから俺だけを見てくれ。他の男に君を渡したくない」

「う、」

「君には俺だけだろう?」

懇願する口調で言い含められて、私は。


そうです。私には降谷さんだけです。


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