幸村精市は立海大附属高校に通う男子高生。
テニスプレイヤーとして日々練習に励んでいた彼は、ある日突然、この宇宙を司る『帝王』の後継者候補として選出されてしまう。
同じく帝王候補として選ばれた赤司征十郎は、何という運命の悪戯か、幸村のクラスメイトで片想いの相手でもあるなまえの幼なじみだった。

赤司ともに次代の帝王を決める試験に参加することになった幸村。
試験の内容は、この宇宙の辺境に新しく生まれたばかりの大陸を育成するというもの。
帝王を支える守護聖に任命された真田達7人の仲間達の力を借り、彼らの力を大陸に注いで発展させていくのだ。

「帝王になった者は自由に補佐官を任命出来る」

現補佐官からそう説明された赤司は、自分が帝王になったらなまえを補佐官にし、自分の伴侶として傍に置くと幸村に告げた。
二重の意味でのライバル宣言である。

こうして帝王を目指すとともにテニスプレイヤーとしての腕も磨く事を決めた幸村の闘いが始まったのだった。

***

「こ
こが俺が育成する大陸か…」

幸村は帝王補佐官の案内で試験の実施場所となる惑星の大陸を訪れていた。
この試験の協力者となる真田達も同行している。

この惑星にある二つの大陸は、上から見ると人間の二つの肺にも似ていた。
その片方を幸村が、もう片方は赤司が育成する事になっている。
それぞれの大陸の端には神殿が建てられており、そこには幸村に大陸の様子や現在不足している力を教えてくれる神官が住んでいるらしい。
この惑星の人々にとって幸村と赤司は文字通り神の使いというわけだ。

大陸の端から始まり、そのまま順調に発展させていけば、二つの大陸の間にある小さな島に辿り着く。そこがこの試験のゴールだ。

「なるほど。先に中間地点にあるあの島に辿り着いたほうが勝ちというわけか。陣取りゲームに似ているな」

「随分規模が大きいけどね」

「幸村くんなら楽勝だろぃ」

「どうかな…。でも、やると決めた以上は全力を尽くすよ」

もちろんなまえも絶対に渡さない。
強い意
思をこめて告げた幸村の前に、神殿の中から小さな人影が現れた。
この大陸の神官を務める少年だ。
まだあどけない顔立ちの神官は、幸村を見上げて「御告げにあった通りです!」と瞳を輝かせて喜んだ。
名前を教えて欲しいと願ってきた神官に、幸村は少々照れ臭い思いを感じながら名乗った。

「俺の名前は幸村精市だよ」

「幸村精市…それはここの言葉で神の子っていう意味です!じゃあ神の子様って呼ばせていただくです。いいですよね、神の子様!」

「フフ…いいけど、少し呼び難いんじゃないかな?どうせなら神様と呼んでくれても構わないよ」

「さりげなく神への昇格宣言しとるぜよ」

「ふむ。精市がこの試験に勝利して正式に宇宙の王となったあかつきには確かに神の如き存在になるな」

「冗談抜きで怖いっス、幸村部長……」



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