12月25日

日本の恋人達にとってはイヴがメインイベントと化しているため、本来なら厳かな気持ちで迎えるはずの25日は「祭りの翌日」状態となっているのではないだろうか。

そういう私も、昨日は色々な意味で張り切ってしまったせいで、今日は一日まったりと過ごしたクチだ。
さすがに連日遊んでも平気だった十代の頃とは違って体力もないし、明日からはまた仕事なので仕方がない。

昨日はローストチキンをメインとした豪華なクリスマスディナーとケーキで満腹したお腹に、薄味で調理したポトフは特別優しく感じられた。

よし、明日はお魚と和食にしよう。


「明日は今日よりも冷えるそうですよ、なまえさん」

食後の紅茶を飲みながら赤屍さんが言った。
ええーとなった気持ちがそのまま表情に出てしまっていたらしく、微笑を浮かべた彼が柔らかい口調で問いかけてくる。

「寒いのは苦手ですか」

「…苦手です」

「暑いのも苦手だと言っていましたね」

「…苦手です」

くすりと笑われてしまった。
でもとても優しい笑い方だったので、嫌な気持ちになるどころかちょっと照れくさくなってしまった。
視線を逸らしながら「朝がつらくて…」などと言い訳を呟いてみる。

「年末年始のお休みまで一週間もありませんから、後もう少しの辛抱ですよ」

「そっか…そうですよね!」

「元気になったとこでデザートにしましょうか。お腹がいっぱいなら明日に回しますが」

「いえ食べます!」

デザートは別腹なんですねと笑った赤屍さんが用意をしてくれる間に、すっかり私の機嫌は上向きになっていた。

フルーツソースに入れたワインに火を入れた瞬間、燃え上がった炎に歓声をあげる。
手から出したメスでフルーツを切ってまたそれが手の中に消えたのは見なかった事にした。

完成したクレープシュゼットにバニラアイスを乗せて食べながら、幸せだなあとしみじみ思う。

年が明けた後の事はまたその時に考えよう。



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