※注意事項※
赤屍・ボス・教授の混合夢。
ザンザスに付き添われて病院に行き、赤屍先生に診察してもらって、教授が調合した薬を貰うお話。



とある病院の待合室。
インフルエンザが流行っていることもあり、内科の前の椅子はほぼ満員状態だ。

咳をする音。隣同士で世間話でもしているのか、ぼそぼそと会話をする声。
辺りは病院らしい音で満ちている。
時折明るいチャイムの音に続いて若い女性看護師が患者の名前を呼ぶアナウンスがそれに混じって響いた。

「ザンザス…マスクしないと」

「いらねえ」

ぐったりしたなまえを膝に横抱きにして抱えたザンザスは、弱々しい声での訴えをいかにも面倒そうな声音で退けた。

「でも…うつっちゃうよ」

「いいから黙って寝てろ」

言い方こそ無愛想だが、なまえを案じているのは間違いない。
でなければ、わざわざ自分が付き添って病院まで連れてきたりはしないだろう。
彼はそういう男だった。

なまえは相当熱が高いらしく、呼吸もおぼつかない様子で、その瞳は涙で潤んでいる。
ザンザスが持参したスポーツ飲料を片手に差し出すと、なまえはぼんやりした表情でストローを咥え少しだけ中身を飲んだ。
それだけの動作でさえ辛そうだ。

ザンザスが苛立って爆発するより早く、なまえの名前が呼ばれた。
順番が回ってきたようだ。
彼はなまえを抱きかかえたまま診察室へと入っていった。

「インフルエンザですね」

問診と簡易検査を済ませた後、白衣を着た赤屍蔵人という名の医師は冷静な声でそう告げた。
赤屍は本来は外科医なのだそうだが、内科も診られるということで臨時医師としてたまに内科でも診察しているのだとか。
なまえとは顔見知りのようだった。

「薬を出しますから、必ず指示通りに服用して下さい。大丈夫、すぐによくなりますよ」

赤屍がなまえの頭を撫でて優しく微笑みかける。
そうして彼は憮然とした顔で眉根を寄せて自分を睨んでいる付き添い人に視線を向けた。

「それから、身内の方に向けていくつか注意事項がありますので、こちらのパンフレットをよく読んで下さい」

パンフレットを受け取ったザンザスに赤屍が簡単に内容を説明する。
それは看病の際の注意事項だった。
部屋は別にしたほうがいいだとか、使用した食器や洗濯物はどうすればいいかなど、だ。

「なまえさんの看病はご自宅で?」

「ああ」

「それでしたら、帰宅後ご家族にもそのパンフレットを見せて下さい。後で私からも連絡しておきましょう」

家族ぐるみで親しく付き合っていることが感じられる台詞にザンザスは面白くない気分になったが、相手が「優しいお医者さん」といった態度を崩さないのでつっかかることはしなかった。



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