そして、翌朝。

「お早うございます、ご主人様」

蕩けるような笑顔で足取り軽く帰って行った教授と入れ替わりに、なまえ姫の飼い犬が部屋に入って来ました。
姫が『くーちゃん』と呼んで可愛がっている愛犬です。
とは言え、実はこの『犬』、人間の男の姿をしています。
美しい黒髪の上にはぴんと尖った立派なお耳。
形の良い尻には黒いふさふさの尻尾が生えているのでした。

「大丈夫ですか?さあ、湯あみを致しましょう」

教授に散々愛された余韻から抜けきれず、寝台の上でぐったりしている主人をそっと抱き上げると、わんこは隣接した浴室へ向かいました。
着衣を手早く剥ぎ取り、なまえ姫を抱いて湯に身を浸したくーちゃんは、手際よくソープを泡立てて可愛い主人の体を綺麗に洗ってゆきます。

「クス…たっぷりと可愛がって頂いたようですね…」

主に忠実な犬は真っ赤になってふるふる震える主人のナカまでしっかり綺麗にしてあげました。
専用のブラシで擦り洗いです。
これ以上詳しくは申し上げられません。
別の機会にお話致しましょう。

浴室から出たなまえ姫は犬に抱えられて寝椅子に連れていかれました。
ゆったりと広い椅子に横たえられた姫君のしどけなく纏ったバスローブから覗くその肌にたっぷりとローションを塗り、櫛で髪を梳くと、控えていたセバスチャンが朝食を持って来ました。

「お早うございますお嬢様。本日はこの後、赤屍様との会食のご予定が入っております。午後からは主治医による定期検診の後、アブラクサス様から帝王学の講義を受けて頂きます」

くーちゃんにあーんして朝食を食べさせて貰うなまえ姫の傍らで、セバスチャンは次々と今日の予定を読み上げていきます。
一日も早く世継のお子様を産むべく、日夜お務めに(性的な意味で)励み、その上女王としての職務もこなさなければならないので大変なのです。
幸い、クーデターを起こそうとした者達は魔王や帝王の手によってあっという間に葬られたので、今ではこの状況に不満を唱える家臣は一人もいません。
国はとても平和です。

「ところでお嬢様、昨夜は如何でしたか?今夜はどなたをお呼び致しましょう?」

セバスチャンの紅茶色の瞳が妖しく輝きます。

「それとも──僭越ながらこの私が閨房術のレッスンを務めさせて頂きましょうか?」


こうして、今日も幸せなハーレムライフを過ごすなまえ姫なのでした。



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