「なまえお嬢様、今宵はどなたをお召しになられますか?」

深い深い、夜の底。
白亜のお城の寝室で、この国の王女であるなまえ姫は忠実な執事のセバスチャンと家令のタナカを前にたいそう悩んでおりました。
彼女には国の跡取りを産む為の大事な夜のお仕事があるのです。
それ自体は構わないのですが、問題はそのお相手が複数いると言う事なのでした。

そう、なまえ姫には各地から選りすぐりの男を集めた専用のハーレムがあったのです。
黒衣の魔王・赤屍蔵人
主治医の赤羽蔵人
闇の帝王ヴォルデモート卿
旧家の当主であるアブラクサス、
その息子のルシウス
ポーションマスターのスネイプ教授

揃いも揃ってドSばかりがよりどりみどり。

「昨夜はルシウス様でしたから、今夜はヴォルデモート卿は如何でしょう?きっと優秀なお子が生まれますぞ」

迷うなまえ姫を家令のタナカがせっつきます。
早く世継の子供を見たいせいか必死です。
まるで孫を催促する老親のようです。
闇の帝王と呼ばれている男の名を聞いて微妙に顔をくもらせたなまえ姫に、執事のセバスチャンはおやと首を傾げました。

「もしかして先日のプレイがハード過ぎてお気に召しませんでしたか?卿はすこぶるご機嫌でしたが……」

お気に召すとか召さないとかのレベルの問題ではありません。
その時の事を思い出すと、今でも顔が赤くなり色々な意味で震えがくるぐらいです。

「では教授に致しましょう。直ぐにお呼び致しますので」

なかなか決まらない事に焦れたらしいタナカはさっさとお相手を呼びに行ってしまいました。

間もなく、黒マントを翻したスネイプ教授が常に無い嬉しそうな笑顔を浮かべて寝室にやって来ました。

「お呼びですかな、姫君。我輩にお任せを。貴女が立派なお子を孕むまで、たっぷりとご奉仕致しましょう」

猫撫で声で囁く男に赤いベルベットのベッドに押し倒される姫。
恭しく頭を垂れたセバスチャンがそっと部屋を出て行きます。

一方その頃、誰よりも姫君の幸せを願う忠実な下僕である妖精のドビーは、なまえ姫がいつまでも幸せでいられるようにと、特製の避妊薬を事後に運んでいくワインに混ぜておりました。
逆効果もいいところです。



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