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家に帰宅した私はすぐにメールを打ち始めた。
相手は私の従兄の観月はじめ、はじめちゃんだ。
彼は聖ルドルフ学院で中学時代からマネージャーを務めている。

これからは私にとってはマネージャー業における先輩になるわけだ。

まずは立海のマネになった事を伝えた。
それから、「マネージャーってお母さんだよね?はじめちゃんお母さんだもんね」、とメールしたらすぐに電話がかかってきて、物凄い剣幕で認識の間違いとやらについて小一時間説教されかけた。

長くなりそうだったので、お風呂に入るからと一度携帯を切り、今度チェリーパイを作ってあげるとメールしたら「そんなもので誤魔化せると思ったら大間違いですよ。でも今日のところはこれくらいで勘弁してあげます」と返信がかえってきた。
嬉しかったんだね、はじめちゃん。

お風呂から上がった後に改めて電話で話した。

「マネージャーの仕事って言うと、部員の能力を把握した上で練習メニューを調整したり管理したりするのと、いわゆる雑用系の仕事があると思うけど、高校の部活だとどれぐらいやるのが普通なの?」

『学校や部の方針にもよりますが、雑用が一般的でしょうね』

「はじめちゃんは管理メインだよね」

『んふっ、当然です。あらゆるデータを総合した上でボクが隅々まで管理調整しているからこそ成り立っているんですよ』

「すごいなぁ。プレイヤーでマネを兼任するっていうだけでもう尊敬レベルなのに。はじめちゃんは頑張ってるんだね」

『なんですか急に。誉めても何も出ませんよ』

そう言いながらはじめちゃんの声は満更でもなさそうだった。
お世辞じゃなくて本心だと分かっているからだ。
こんな時、お互いに血の繋がりを感じる。

『まあ、幸村くん達もキミにそこまで本格的なものは求めていないでしょう。プレイヤーの管理やデータ収集は柳くんに任せておけば問題ないでしょうし、キミはとりあえず基本のサポートから入ればいいと思いますよ。細かい事はこれから話し合って決めていけばいいんじゃないですか』

「うん、そうする。有り難う、はじめちゃん」

『ライバルですから情報は渡せませんが、相談くらいは乗ってあげますよ』

「うん、頼りにしてるね」

はじめちゃんとの通話を終えた私は、よし、頑張ろう!と気合いを入れ直した。



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