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「よお、七瀬」

冷たい空気など物ともせずに話しかけてきたのは頭に斧が突き刺さった宍戸だった。
同じくゾンビの仮装をした鳳と、相変わらず眠そうな顔をした羊の着ぐるみ姿の芥川も一緒だ。

「大丈夫ですか、七瀬さん」

「そこの眼鏡になんか変なことされなかったか?」

「ちょお、なんでやねん」

冷静に突っ込む忍足の前に出て、七海はいえいえと即座に否定して彼の矜持を守った。

「忍足くんにはむしろ助けて貰ってたくらいだから」

「せや。人聞きの悪いこと言わんといてや」

忍足の声に被せて、「あれ〜?」という暢気な声が響いた。芥川だ。

「七海ちゃんて、青学の一年生じゃなかったっけ?」

「ううん。私は芥川くんと同い年だよ」

「おかしいなぁ〜」

「おいおい、また寝ぼけてんのか?仕方のねえヤツだな」

宍戸が肩をすくめ、七海と鳳は笑って顔を見合わせた。
舌戦を中止した観月と不二も何事かと七海の傍らにやってきた。

「観月と仲がいいんだよね?」

芥川が首を傾げながら七海の顔を覗き込んでくる。

「うん。はじめちゃんとは従兄妹同士だし仲良しだよ」

「そっか〜、やっぱり七海ちゃんと観月はお似合いだよね〜」

「これまで芥川くんとは親しく話した事はありませんでしたが、なかなか物事が分かっている人物のようですね」

「そうかな?ただ寝ぼけてるだけじゃない?寝言じゃなきゃそんな言葉出てくるはずないしね」

「どういう意味です?」

「そのままの意味だけど」

開眼した不二と観月が睨み合う。
再び両者の間に激しい火花が散った。


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