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「まさか幸村くんに目をつけられるとは思いませんでした」

「観月…あのなぁ…」

「次、試合ですよ。さっさとウォーミングアップを済ませて下さい」

苦言をていそうとした赤澤を封殺して、観月は組んだ腕の上を苛々と指で叩いた。

ギャル系が好きな男もいれば、学級委員系が好きな男もいる。

何が言いたいかというと、七海が好みのタイプだという男も一定数存在するということだ。
そしてその中には、積極的にアプローチしたり告白したり、七海に対して何らかのアクションを起こしてくる男も当然いた。
しかし、そういった男達は、観月と観月の指示により協力させられた男テニ部員によってことごとく潰されてきたのである。

観月は狡猾だった。

七海に接近しようとする男に妨害工作を行う一方で、部員達にわざと七海の前で他の女の子を話題に出して他の子を誉めたりすることで、「男の子が好きな女の子のタイプと自分は違うみたいだ」という認識をすり込ませたのだ。
従妹可愛さのあまりとは言え、ここまで徹底しているとさすがに怖いものがある。

このままでは七海の青春が台無しになるのではと心配した柳沢などがやんわり観月に忠告してみたりしたのだが、結果は百倍の抗議となって返ってきた。

そこまでして守ってきた大切な存在なのだ。
ここでいきなり横からかっさらわれるわけにはいかない。


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