血色の瞳に真っ直ぐ射抜かれた真奈は首を傾げた。

「どうしたの?もしかしてツナに用事?」

間近まで歩み寄ったザンザスが、ちらりと真奈の手元の鞄に視線を落とす。

「荷物はそれだけか?」

「う、うん」

それなら話は早い、と顎をしゃくって一緒についてくるよう促す。

「行くぞ。外にヘリを待たせてある」

「えええっ!?ちょ、ちょっと待って、まだ授業が……」

「知るか」

「わっ!?」

ザンザスは有無を言わせず真奈の身体をひょいと肩に担ぎ上げた。

「や…下ろしてっ!」

「下ろしたら逃げるだろうが」

一応、逃げられるような真似をしている自覚はあるらしい。
真奈は手足をじたばたと動かして抵抗を試みたが、ザンザスはビクともせず、そのままスタスタと歩いていく。

真奈の視界の中を走馬灯のように流れ過ぎていく青ざめたいくつもの顔には、「人攫い!?」「誘拐!?」といった表情が浮かんでいた。
でも誰も助けてくれない。

校舎の外に出ると、強い風が吹き付けてきた。

「来たかぁ!」

スクアーロの声が聞こえる。
それに、ヘリコプターのプロペラが立てているらしき轟音も。

外にいた生徒達の好奇の目に晒された真奈は恥ずかしさに赤くなったが、ザンザスは気にせず校庭を横切って進み、ドアを開けて待機していた大型ヘリコプターに乗り込んだ。



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