部屋を出たザンザスは機関室へと来ていた。
真奈を残していくのは心配だったが、マーモンが何とかするだろう。
今は片付けなければならない事柄がある。
マーモンの報告が確かなら、随分と厄介な事態になっているはずだ。

「こっちだぁ」

階段を下りるとすぐにスクアーロが声をかけてきた。
無言で彼の元に歩み寄る。

「後ろからズガン、だ。一発で仕止めてやがるぜぇ」

スクアーロの足下には男の死体があった。
後頭部に銃口を密着させた状態で発射したのだろう。
銃弾は頭部を貫通して額から飛び出てており、脳しょうと血痕が床に飛び散っている。

「弾は」

「見つかってねえ。持ち去ったのかもなぁ」

弾丸には『撃った痕』が必ず残る。
そしてそれは指紋と同じようなものなのだ。
調べればどの銃から発射されたものなのかが解る。
つまり、特定されては困る人物の犯行である可能性が高い。

それはそうだろうとザンザスは冷ややかに考えた。
この船には船員から乗客にいたるまで、すべてボンゴレの身内──すなわち、ボンゴレの関係者か同盟ファミリーしか乗っていないのだ。
身内殺しは大罪である。
証拠がなければバレないと考えたのだろうが、それは甘過ぎるというものだ。

「ドカスが…つまらねぇ小細工しやがって」

ザンザスは冷徹な眼差しで遺体を見下ろしながら吐き捨てた。

「マーモンに粘写をさせろ。犯人が見つかり次第直ぐにかたをつける」

「おう」


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