降るような星空とはよく言ったもので、頭上には満天の星空が広がっている。

真奈はそんな夜空を眺めながらデッキを歩いていた。
もしザンザスが一緒にいたら、足元をちゃんと見ろと注意されていたかもしれない。

ガラス一枚隔てた向こうでは、きらびやかに着飾った大勢の人々が笑いさざめいているのに、外はこんなにも静かだ。

少し視線をずらせば、救命ボートが吊るされているのが見える。
その下にあるはずの海は真っ暗だ。
さっき手摺越しに少し下を覗いてみたのだが、何処までも続くその暗黒に吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚え、慌ててそこから離れたのだった。
うっかり足を滑らせて夜の海に落ちたりしたら目もあてられない。

(もしそうなったら、お父さん怒るんだろうな……)

父の怒りの向かう先が自分ならまだいいが、しかし、そうなった場合責任を問われるのはやはりザンザスだろう。
ただでさえ微妙な立場にいるであろう彼に余計な迷惑はかけられない。

リング争奪戦後、ザンザスとヴァリアーの処遇は家光と9代目で話し合って決めたのだと聞いた。
その結果どんな処分が下されたものやら、彼らは今でも9代目直属の暗殺部隊として活動している。

まったくお咎めなしというわけにはいかないだろうから、何らかの罰は受けたのだろう。
それとも、ボンゴレの為に血塗られた修羅の道を歩み続けることそのものが罰なのか。
いずれにしても、三度目の反逆は許されないはずだ。
そして、そうなれば今度こそ──。

そんなことを考えていた真奈の耳に、ふと微かな水音が届いた。


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