「とても良くお似合いですわ」

面食らう真奈に、テーブルの傍らに立っていたエキゾチックな美女がすかさず誉め言葉を投げかけた。
本音かどうか怪しいものだが、少なくとも彼女が浮かべる笑顔には皮肉めいたものは混じっていない。
超直感でなくともそれは分かった。
何故かは分からないが、この女性が自分に対して好意的な感情を抱いてくれているらしいことも。

「その向こうの箱に入っているヤツを着けさせろ」

今度もまた簡単にケースの中身を見渡しただけで決めたらしいザンザスが指示を出す。
美女はにこやかに応じて、指示されたアクセサリーを手に取った。
他のゴテゴテとした装飾のものと違って、シンプルで優美なデザインのシルバーのネックレスだ。

「それでは、支度のお手伝いをさせて頂きます。こちらへどうぞ」

「は、はい」

やはりこれからが本番らしい。

ザンザスを見ると、カウチに深く埋もれるようにして大きな欠伸をしていた。
目を閉じてすっかりお昼寝モードだ。
大きな身体をカウチに預けてうとうとしているその姿は、ライオンなどの大型の猫科の肉食獣のようでちょっと可愛いと思ったが、本人に言ったら間違いなく激怒するだろう。

真奈は思わず口元を綻ばせながら女の後に続いた。



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