翌日も快晴だった。

「白蘭様」

青空の下、白く輝くタワーの一室で、昨日と同じくファイルを手にしたレオナルド・リッピが、ソファに腰掛ける白蘭の背に声を掛ける。
彼の前のテーブルにはやはり昨日と同じくマシュマロの袋があった。

「お、正チャンからの連絡だったりする?」

「いえ…違います」

白い塊を指先で摘まんで弄びながら、白蘭は「あ、そう」と大して残念そうでもなく返した。

「となるとタイクツだよねー、レオ君」

「は…はぁ…」

「メシでも食い行く?」

伸びをして気安い口調で言う白蘭に、新しい伝達係は「そんな恐れ多い!!」と慌てた声をあげる。
本気か冗談かわからないが、この上司ならどちらとも有り得る。
白蘭の前のテーブルの上には、マシュマロで、数字の『7』と、その右横に小さな『3』が描かれていた。
7の三乗──トゥリニセッテ。

「うーん、じらすよなーー早く会いたいのに──並盛中学2年A組沢田綱吉クン」

白蘭がマシュマロをぱくりと食べて呟く。

「ああ、ごめんごめん。それで、何の用だったかな?」

「あ、はい。今朝検査室にお連れした沢田真奈様ですが、つい先ほど採血及び各検査が終了したとの報告がありました」

「そっか、もう採取したんだ。あれ痛いんだよねー可哀想に。注射針の痕が残らなきゃいいけど」

白蘭を背後から見つめるレオナルドの瞳に、ほんの一瞬怒りに似た何かが走った。
が、それも一瞬のことで、再び実直で気弱そうな表情に戻り、彼は白蘭の指示をあおいだ。



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