ふわふわのわたあめみたいに




一通りイベントは終わった。やっふい!なんて疲労マックスの私が叫んでも説得力の欠片もないんだけれども、私はかなり頑張った。イベントにちゃんとしっかり貢献した頑張った。

「だから褒めて」
「意味が分からん。だからの使い方間違ってんだろ」
「間違ってないよ」
「お前が一人でぶつぶつ言ってんのは俺には聞こえてねェんだよ」
「あ、そっか。だから、だからが分からないのか」

ぽんと手を打っても、高杉はそれを見てバカだなと呟くだけだった。うきー!と起こると猿だ猿だと声があがる。
もう何だ私。可哀想。自分が可哀想。

「ていうか水城。イベントならまだ終わってやせんぜ」
「え?なにをぅ!?」
「入学式でさァ」
「エッ…」

でも入学式って私たち三年生だから、もう卒業のはず…でも卒業シーズンはもう終わり…
えっと、じゃあ、どういうこと?ぱーどぅん?

「時間軸に巻き込まれたのよ」
「なにその漫画ちっくな理由は」
「いいじゃないそれで。卒業シーズンに乗り遅れた私たちが、今から新入生をむかえてこれから頑張るのよ」
「頑張るのよ、って…じゃあこれ卒業シーズンになるまで終わらないって事?」
「いや、本当の目的は違うところにあるから卒業シーズンにならなくても終わることには終わりまさァ」
「本当の目的…?」

いやはや一体それは何なんだ。さっぱり分からない。
卒業してうわぁぁんみんなぁぁぁぎゅっ!〜ジエンド〜ってカンジではないのね。

「そんな終わり方あるんですね…」
「そういうのもあるじゃん」

そして、これから私たちは入学式に出なければならないという大イベントが待ち構えている。
イベントの連続で疲れ果てている私にとっては苦痛。何ヶ月も経ってるとか言われても苦痛。なんかもう面倒くさい入学式。

「凛…」
「?どうしたの神楽ちゃん、珍しく元気ないね」
「わ、私もうどうしたらいいか分からないアルゥゥウ!入学式っていったら新入生がわんさか入ってくる時期ネ!そしたら、またアイツモテて私の努力は水の泡ネ!」

神楽ちゃんの言いたいことはよく分かった。分かったけど、苦しい。くるじ…っ襟を掴むなっつーのォ!
苦しくて苦しくて、言葉にできないよ!しゃべりたかったのにさァ!

「ぇほっ…う…、じ、じゃあさ、神楽ちゃんがそのこたちを近づけさせないように、ガードしとけばいいんじゃない?」
「その手があったネ!よしそれでいくアル!張り付くネSPごっこの始まりアル!」

ちょっと趣旨が違う気がする。間違ってないから何も言わないけど。SPごっこって…神楽ちゃん何歳?
でも、そんなこと言ったら私も…あ、
一番危ないの私ぃぃい!私やばいいぃぃ!何もしてないし対策とか!
そんなこと考えてても埒があかないので、私は放送が流れた直後ダッシュで体育館へ向かった。