午後の授業も全て終わって帰宅。 き、帰宅ゥゥウ!!遂に何もしないまま帰宅ゥゥウ!!おい帰宅時刻こっちくんな私を見るなァァ!
「うぐっ、まさかの何もしない4月1日…」
悲しすぎる…4月1日っていったらもう私にとっては盛大なるイベントで、毎年嘘吐いて空をからかってるんだけど、今年は昨日まで気がつかず忘れてたし、朝からそわそわしてたからもう完全にばれてるんだろうけど。 それでも盛り上げたいじゃないか!!
「おい水城、帰んねーのか」 「帰る帰る!!」
いつの間に私はこんなに普通に高杉と一緒に下校するようになったんだろう。 自分の額に手をあてて思い出してみる。 ……成り行きか。
「お前今日ムダにそわそわしてねェか」 「き、気のせいじゃないすか!?」 「お前今の自分見てみろ」 「やだよ、きもいもん。自殺するよ?」 「勝手にしろ」
え、ひどい。 ひどいよね今のはさ。
「ねえ、高杉」 「あ?」 「私高杉のこと好きなんだ」 「……は?」
顔中にハテナマークが浮かんだような顔を浮かべる高杉。 その反応を待ってたんだけど私は。
「なーんてねっ、嘘に決まってんじゃん!今日はエイプリルフールだよ!」 「犯すぞ」 「え、やめて。私の純潔が高杉なんかに奪われたらひとたまりもないわ」 「嘘だし」 「殺すぞ」
びっくりした、あっさりすぎてて。もっと頭ぐりぐりされるとか首絞められるとかされると思ってたの…ぎゃああああああ!
「ぐ、ぐぇっ、首絞まってる死ぬ死ぬ!!」 「謝れ」 「ごめんなさいごめんなさい!ごめんなさい高杉さま謝るからほんっと許してマジ許しうげぇっ」
死ぬかと思った。首から腕が放されたとき思いっきり空気を吸った。それで更に気持ち悪くなった。
「そういう本気にさせる嘘やめろ」 「ちょ…、ごめんよく意味が分からなかったし真面目に聞いてなかった」 「死ね」 「うわああああああっ頬っぺたああああああ」
頬っぺたをぐにぐにと引っ張られた。私の頬っぺた可哀想。そろそろ千切れてもおかしくないよ。 最後にエイプリルフールを満喫できてよかった。幸せだったし、ちょっとだけ。頬っぺたつねられるのも首絞められるのも私は嫌じゃない。 私のうそは嘘じゃないしね。
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