Rachel

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セクハラって知ってます? [3/3]


「そうですよ!きっと、いきなり汚い船に乗せられて、厳つい人たちに囲まれたから不安なんですよ!」
「エミリーちゃん、意外と辛辣なんだね…」

可愛らしい顔で真面目に毒を吐いたナースは、最近船に乗ったばかりの新人だ。
流石のサッチも、その言葉は胸に刺さったようで、ガックリと項垂れた。

「とりあえず、話は落ち着いてからにして、シャワーでも浴びましょう?」
「確かに、海水で髪の毛ゴワゴワですねー」

クリスティーナが優しくその手を取ると、少女も安心したように顔を上げた。
その目には涙が溜まっていた。

聖母さまのお言葉なら仕方ない、とマルコも諦めて立ち上がろうとした時だった。
エミリーが布団を捲くって少女を立たせたのだ。
それは至極、当然の行為なのに酷い違和感を覚えた。

「どうした?」
「いや…なんか、おかしくねぇかい?」

不自然に腰を上げたマルコを不思議に思ったのだろう、サッチが首を傾げた。

「なんか、って?」
「それがわかんねぇから聞いてんだよい」
「マルコ隊長?」
「どうしたんですかぁ?」

マルコを含め、そこにいた全員が顔を見合わせると、この微妙な空気に違和感を覚えているのは自分だけではなかったようだ。

全員がその答えを導き出せずにいると、少女は慌てて足を引き寄せ腕で覆い隠そうとした。
しかし、細い腕では隠せるはずもなく、その隙間から大きな痣が見えた。

「あれ?ケガしてんじゃん」
「あっ、ホントだ!痣になってますね!」
「でも、こんなのさっきはあったかしら?」

サッチとナース二人が心配そうに覗き込んでいると、奥の部屋から船医が戻ってきた。

「あ、ドクター!ちょっと見てあげてください!」
「なんだい、なんだい」
「この子、足をケガしてるみたいなんです」
「足…?」
「そうだよ、問題大有りじゃん!」

先ほど問題ないと豪語した船医に、少女を心配した三人が畳み掛ける。
そのあたふたとした雰囲気に、船医はメガネを持ち上げてから不思議そうに少女を覗き込んだ。

「おや?君は…人魚じゃなかったかね?」

船医の言葉に一瞬、時が止まったかのように静まり返る室内。
一同、慌てて少女の足元を見ると、そこには確かに足があった。

「え…?」

甲板で目撃したマルコはもちろん、診察を手伝ったナースたちも、あの尾ヒレを見ているはずだ。
サッチも人魚という噂を聞きつけて、わざわざ医務室までやってきたのだ。
全員、彼女が人魚だということを認識していたはずなのに、“足がある”という光景に疑問を持っていなかった。

「あれぇ?人魚ちゃんじゃないの!?」
「そんなぁ!さっきまでは確かに…」
「不思議ねぇ、鱗もないわ」
「どういうことだよい…っ」

マルコが思わず少女の足を掴むと、細くしなやかな指がその手を叩き落とした。
あの不死鳥マルコの手を、だ。

驚いて見上げると、クリスティーナが綺麗なブロンドを揺らしてニッコリと微笑んだ。

「マルコ隊長」
「な、なんだよい…」


セクハラって知ってます?


(え…?)
(相手が不快感を覚えたら、それはもうセクハラって言うんですよ?)
(いや、)
(流石にセクハラはいかんよ、マルコ隊長)
(は?)
(サイテーです!隊長、見損ないました!)
(おい…!)
(ちゃんと慰謝料払えよ!マルコ!)
(ふざけんなっ!)


2013/04/16

マルコさんは苦労人な気がします。
というか、ヒロインが空気でスミマセン…名前変換もないし…
続いたらいいなぁ。
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