最果てまでワルツ | ナノ
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「ねえ、サホ。私ね、カカシが好きだったの」

 そうだね。リン、わたし、この前やっと知ったの。
 わたし知らなくって、びっくりしちゃった。

「ふふっ。サホってば、鈍いのね」

 うん、そうかも。でもきっと、リンが隠すのが上手なんだよ。

「そうかしら? 私はずっと、カカシだけを見てたのに」

 カカシだけ? でも、リンはオビトと約束していたよね。オビトのことをずっと見てるって。
 オビトは、火影になる自分を、誰よりもリンに見てもらいたかったんだよ。

「私、カカシが好きなの」

 うん、知ってるよ。リンはカカシが好きなんだよね。
 ごめんね、知らなくて。知ってたら、わたし、リンのこと応援してあげられたのに。

「そうね。だってサホは、オビトが好きだものね」

――うん。そう。わたしは、オビトが好き。


「そうよね。オビトが好き。そうでしょ?」


 そうだよ。オビトが好き。


「サホはオビトが好き」


 わたしはオビトが好き。


「ねえ、サホ」



「サホはカカシを好きになったり、しないよね」



 目を開くと同時に、胃を直接殴られたような痛みに気づく。急いでベッドから出て、トイレへ駆け込んだ。

「うっ、げえっ……ぐ、えっ……」

 胃から食道を伝い、口から酸っぱいものを吐き出した。水音を立てて便器の中へと落ちていく。鼻がつんと痛み、喉が焼けるように痛い。その痛みで目の端からは涙が溢れる。
 まるで胃袋をひっくり返したように、中のものを全て吐き切ると、レバーを引いて水を流した。トイレを出て、キッチンで水を汲んで口をゆすぐ。口内に残る気持ちの悪い酸味を取るため、何度もゆすいで、それから水を飲んだ。そこまでしてやっと気が済んで、その場にしゃがみ込む。

「はぁ……はぁ……」

 動悸がひどく、呼吸も落ち着かない。しばらく座り込んでいれば、ドクドクと脈打つ体も鎮まって、今が何時か冷静に考えることもできた。

「……三時……」

 夕方ではなく、夜中の三時。寝付く直前に見た時計は、一時を指していた。二時間ほどしか眠れていない。
 だからまた早く眠っておかないと任務に支障が出るのに、吐いたせいで体が目覚めていて、なかなか眠気が来ない。全速力で走ったときのように、鼓動が速くて息もしづらい。
 キッチンの戸に背を付け、目を閉じる。


「サホはカカシを好きになったり、しないよね」


 思い出すと、胃がキリキリと痛んだ。
 夢にリンが出てきたはずなのに、リンがどんな顔をしてそんなことを言ったのか分からない。

 当たり前だよ。わたしが好きなのはオビトだよ。

 そのはずなのに、また胃が痛む。さっき飲んだばかりの水も吐き出そうと、胃がぐるぐると動くのが分かった。
 そのまま体を横にして、膝と背を曲げて丸くなる。
 眠りたい。眠らないと。明日も仕事があるのに。
 でも、さっきの夢をまた見てしまったら。

「リ……ッ」

 呟いた名前は、泣いているせいでうまく紡げなかった。声を抑えたいのに、呼吸はぜえぜえと大きくなるし、言葉にならない声が喉から漏れていく。
 苦しい、痛い。眠りたい、眠りたくない。
 そうしているうちに、ふと気づけば、カーテンの隙間から光が漏れている。時計は五時を指していて、眠ることがもう許されない時間になっていた。



 リンの夢は、あれから何度も見た。見始めてすぐの頃は、一週間に一度程度だった。それが次第に、一週間に二度、三度、四度と増えていき、二ヶ月経つ頃にはほぼ毎日見るようになってしまった。
 決まって、リンはわたしに言う。『サホはオビトが好きなんだよね』『カカシのことは好きじゃないよね』と。
 わたしはそのたびに、『そうだよ、オビトが好きだよ』と返す。
 だけど、『カカシを好きにはならないよ』と返すことはできなかった。その前に吐き気と共に夢から覚める。そのままベッドの中で吐くのを我慢できるか、そうでなければトイレに行って吐く。その繰り返しだ。
 何故言えないのか、自分でも分からない。
 わたしはオビトを好きなはずだ。だから、カカシのことを好きになるわけがない。
 分かっているなら言えるはず。言えないのは――そんなことない。わたしはわたしの好きな人を、間違えたりなんかしない。


 夢を見るようになってから三ヶ月。もう常に眠たかった。夜中にやっと寝付いてもすぐに起きてしまって、また眠りにつくにも時間がかかる。
 かといって、任務中は眠るなんて許されないし、そもそもいつどこで寝ようともあの夢を見てしまうから、眠ること自体が怖い。
 今日もまた、疲れた体に鞭を打ってマンションへと戻る。任務中は、頭を活性化させる効果がある丸薬で何とかなっているけれど、それもそろそろ難しくなってきた。

 これだけ眠いなら、夢なんて見ずに眠れそうなのに。

 そんな希望を抱いて、今日こそは夢を見ずに――と思っても、結局は毎回、胃痛と共に目が覚めて、堪えきれない吐き気に体が悲鳴を上げる。
 それでも横になって、少しでも体を休めなければ。部屋がある階へと着き、鍵を取り出し廊下を歩く。

「サホ」

 声をかけられると同時に、肩を掴まれた。その手が力を入れて、わたしを振り向かせる。

「……カカシ……」

 手の先を辿れば、マスクをしたカカシが立っていた。こんなに近くで顔を見たのは――もしかしたら半年以上前かもしれない。最近は夢のせいで慰霊碑やお墓へ向かわなくなってしまったし、成人の儀のときでも、遠くから見かけたくらいだ。
 カカシも任務終わりなのか、暗部の格好ではない。面は掛けておらず、右目だけを晒すいつもの顔がある。その右目がわたしの顔を捉えると、細くなって眉間に皺を作った。

「随分とひどい顔してるね」

 開口一番に失礼なことを――と思いはしたけれど、カカシの感想はご尤もだった。カカシだけではなく、顔を合わせた半数の人が『ひどい顔をしている』と言った。自分で鏡を見ても分かる。目の下のクマや色味を失っている肌を隠すため、いつもより厚めに施した化粧のせいで、逆にできの悪い人形のように生気がない。

「何があった?」

 訊ねられても、話せるわけがない。夢のせいでよく眠れていないと言えば、どんな夢を見たのか問われる。夢の内容は、カカシには話せない。


「サホはカカシを好きになったり、しないよね」


「何でもない……」

 肩を掴む手をやんわりと払って、自分の部屋のドアの鍵を開け、中へ入った。横目で一瞬見たカカシは、その場から動かずに、わたしの方を見ていた。
 夜色の瞳の追及を逃れるべく、音を立てて内側から鍵をかける。頭の中に居るカカシも追い出すように。



「なあ、サホ。リンが泣いてるんだ」

 オビト。リンが、泣いてるの?

「ああ、そうだ。リンがな、泣いてるんだ。あのリンが、泣いてるんだよ」

 オビト。あのね。
 オビト、リンはね、あのね。オビト。

「なあ、誰がリンを泣かしてるんだ? オレの大事なリンは、誰に泣かされてるんだ?」

 聞いて、オビト。
 オビト、あのね。ごめんね。
 リンは、リンはね。

「サホのせいじゃねぇの」

 えっ。わたしの、わたしのせいじゃ、ない、よ。
 ちがう。わたしは、わたしはだってね、オビトが好きだから。
 わたしの好きな人はオビトだよ。
 だから、オビトが好きなリンを泣かせたりなんか、そんなの絶対にないよ。

「じゃあ、どうしてリンは泣いてるんだ? 誰に泣かされたんだよ」

 それは。それはね。
 ねえオビト。違うの。リンは、リンは。
 リンは……。


「リンを守ってくれるって言ったのに、どうして守ってくれないんだ」


 オビト――――ごめんなさい。



 手で口元を押さえ、掛けていた布団を跳ね飛ばした。まともに歩くこともできず、ドアを開けることの煩わしさからトイレを拒否をして、キッチンのシンクへと顔を伏せた。

「げぇっ、かはっ……うっ……はぁ……はぁ……」

 蛇口を捻って水を流す。夕飯を食べずに寝て、胃が空だったこともあり、吐いたのはとてつもなく苦いものだった。これは胆汁らしい。胃液すらも出しきって、吐くものがない状態でさらに吐くと、胆嚢で作られた胆汁を吐くことになる。それが特別苦く、誤魔化すために何度も口をゆすいで、水を飲んだ。

「はぁ……はぁ……っく……」

 目からぽろぽろと涙が零れ、シンクへと落ちていく。

「ごめん……ごめんなさい……ごめんなさい!」

 約束したのに。オビトの代わりに守るって、約束したのに。
 なのに、わたしはリンを泣かせた。
 たった一言でいい。たった一言、『わたしはカカシを好きにならないよ』と言えばいい。
 なのにどうして言えないのか。わたしが好きなのはオビトなのに。
 オビトの大好きなリンを傷つけてしまった。
 どうしよう。どうしよう。ごめんなさい。オビト、リン、ごめんなさい。ごめんなさい。



 受付所に向かうと、言伝で三代目に呼び出された。受付係より内容は告げられなかったが、任務よりも優先される緊急の呼び出しが楽しいものではないことは、多くの者が承知している。

「サホ。お主、最近ちと様子がおかしいぞ」

 訝しげな三代目の言葉が、わたしに気を引き締めろと窘めるのではなく、体の具合を気にかけてくださっているように感じたのは、恐らく錯覚ではないだろう。三代目は里の住人を大事に思っている。忍とてその一人だ。

「……申し訳ございません」
「謝れと言うわけではない。お前がどうして、そこまでやつれているのか知りたいのじゃ」

 謝罪すると、三代目は少し声を和らげ、火のついた煙管を置いた。両手を組んで、わたしの顔を覗き込んでくる。
 リンの夢を見始めて半年以上が経つ。目の下のクマや肌荒れは、もはや化粧程度では隠しきれないほどにひどい状態だ。吐いてしまうこと、食欲自体もないことが合わさって、体重も減った。
 理由を知りたいと口にされても、喋る気は毛頭ない。個人的な話だ。しかし、その個人的なことで体を壊し、任務に影響が出てくるとあっては、上としても見過ごせないだろう。

「活力丸の支給を、何度も申請していると報告も上がっている。あれは常用すべきものではないのは、お主も分かっておろう」

 体内を活性化させる丸薬はいくつか種類がある。その中でも活力丸は、いわゆる覚醒効果を目的に作られている。飲めば一時的に倦怠感や眠気は抑えられ、頭の回転もよくなる。先の戦争中は重宝され、多くの忍がこれを飲んで戦場に留まった。
 けれど良い面ばかりではない。活力丸は、効果が切れると途端に強い疲労感に襲われる。その疲労感を消すためまた丸薬を服用する、という常習性の高さから、活力丸は戦時中から完全支給制を取っている。
 ただし、支給制なだけで、申請すれば支給自体はすぐに通る。特に上忍であれば、任務のために使用する機会は戦争がない今でも多々ある。ただ、わたしはその頻度と数が平時より多くなったため、三代目へと報告が上がったようだ。

「申し訳ございません」
「……のう、サホよ。お前が何かに苦しんでおると言うのなら、ワシはいくらでも手を貸す。成人しようとも、上忍になろうとも、お前は里の大事な子だ。里を出たお前の母親や兄に代わり、お前を見守らなければならない。今のお前を放っておくわけにはいかん」

 謝るばかりのわたしに、三代目は痺れを切らしたのか、わたしの身のことが何より心配だと言葉をかける。優しい響きを持つしゃがれた声に、ますます罪悪感を覚えて、自然と頭が下がってしまう。

「ご心配をおかけし、申し訳ありません。活力丸は、なるべく控えます」
「そうではない! そうではない――が……お主が言いたくないとあれば、ワシもこれ以上、とやかく言う気はない」

 大きな声を上げた三代目は、喋るうちに次第に落ち着きを取り戻し、まるで自分に言い聞かせるように、言葉を繋げていく。
 置いていた煙管を手に持ち、くわえて煙を一つ吐いた。

「お前が本調子に戻るまで、Aランク以上の任務を命ずるのは控えよう」
「いえ、それは――」
「お前のせいで任務が失敗し、それが原因で里が危機に陥ることは、絶対にならん。里の住人すべての命を預かっている火影として、そう判断した」

 『火影として』と言われたら、ぐうの音も出ない。実際に、今の状態でAやSランク任務を命じられるとかなりきつい。それこそ、常に活力丸を服用しなければ完遂どころか続行も厳しい。
 Aランク以上の任務が命じられないことに対しては、上忍という立場を考えれば大恥だが、安堵で少しだけ気分が軽くなった。Bランクなら内容にもよるけれど、失敗することはないだろう。センリ上忍の穴を埋めることを託されて上忍になったのに、なんて情けない。
 三代目に頭を下げて、火影室を後にする。長い廊下を歩き外へ出れば、陽射しが目を焼くので、手で庇を作った。

 これからどうしよう。

 活力丸の申請は、恐らくもう以前のようにすんなりとは通らない。手持ち分を任務時に使用するとしても、残っている数は心許ない。
 かといって、支給される活力丸以外を口にする気もない。闇市のような形で似たものは出回っているけれど、質が悪い上に、副作用もひどいと聞く。今でも、活力丸の常習性に飲まれないように踏みとどまっているのに、そんなものを服用したら一気に中毒患者になってしまう。
 考えると、どっと疲れが増した。活力丸を服用した分の疲れが、今になって襲ってきている。
 庇を解いて、額を押さえる。それでどうにかなるわけではないけれど、頭が重いから少しでも支えたい。
 陽射しに眩んだ目を閉じて、敷地内を進んでいく。視界不良でも、慣れた道は感覚だけでも何とか歩けた。耳には遠くから届く子どもたちの声。アカデミーで学ぶ子たちの遊ぶ校庭が近いので、その声だろう。
 元気がいいなぁ、なんて羨ましさを覚えていたら、体が何かにぶつかった。進行方向に、柔らかい壁があったらしい。勢いで後ろに倒れそうになるのを、誰かの手がわたしの腰を支えて防いだ。

「サホ」

 額から手を下ろして目を開ければ、目の前には夜色の右目。木ノ葉の額当てを斜めに着けて、マスクをしている男は、この里では一人しかない。
 カカシの銀髪は、太陽の光を受けると、一際きらきらと輝く。その眩しさに目を細め、見ていられないと顔を反らした。

「サホ、何があった?」

 尋問だ。尋問が始まる。そう思わせる殺気を放っている。冷えた気配を前に、喉がごくんと鳴る。

「お前、全然眠れてないんでしょ」
「……関係ない」

 言葉を絞り出すと、腰に回っているカカシの手に力が入った。

「夜中に起きて、何度も吐いていることに、気づいてないと思ってんの」

 驚いてカカシに顔を戻すと、右目に射貫かれて動けなくなる。写輪眼でも何でもない、ただの瞳なのに、逃げてはいけないと思わせる何かがある。
 カカシは隣に住んでいる。防音性が高く造られているとはいえ、真夜中のしんと静まり返った中で、ドタバタと走ってトイレに行き、えずく音が隣に響くことは十分考えられる。

「うるさくしてるのは、悪いと思ってる。本当に、迷惑かけてるって。でも、気にしないで。なんだったら他所に引っ越すから――」
「どうして泣いてる?」

 わたしを遮って、カカシが問う。泣いているのも聞かれていたと分かって恥ずかしくなる。カカシには知られたくない。カカシにだけは。

「本当に、何でもないから!」

 腰に回されたカカシの腕の中から逃げ出して、背を向けるけれど腕を掴まれ引き留められた。

「サホ。頼むから一人で抱え込むな」
「いいから、もう放って――」

 振り向いて文句を言おうとしたら、カカシの後方にリンとオビトが立っていた。どちらもわたしの知っている、まだ十三や十四の、子どもの二人だ。


『ねえ、サホ』


 リンが口を開く。

 怖い。いや。こわい。

 やめて。こわい。やめて。

 やめて。やめて。やめてやめてやめて!


「――いやっ!」

 力の限り腕を振って、カカシの手を払った。その手で両耳を塞いで、荒い呼吸を繰り返す。まるで耳のすぐそばに心臓があるみたいに、ドクドクとうるさい音が響く。
 そのまま後ろに下がって、カカシから距離を取った。手が届かないだろう位置まで下がって、恐る恐るカカシの後方を確認すると、背丈や性別はリンやオビトと同じの、下忍であろう子たちが、真新しいピカピカの額当てをつけて並んで立っていて、不思議そうにわたしたちを見ている。

 二人じゃ、ない。

 リンじゃない。オビトじゃない。あの子たちは、まったくの他人。
 あの二人を、リンたちに見間違えたらしい。ホッとすると同時に、両手の壁を取り払うと、けたたましい鼓動の音は幾分静かになった。
 ああ、よかった。リンに問われてしまうと思うと、怖くて怖くて、逃げ出してしまいたくなる。
 ふと、カカシへと目を戻した。カカシが晒しているのは、いつも右目だけ。だから表情は右目からしか窺えない。
 その右目は、大きく見開かれている。わたしが払った手は、そのまま所在なさ気に宙に伸ばされている。
 信じられないとばかりに目を見張るカカシは、きっとわたしが今――傷つけた。

「あ……」

 ごめん。言わなくちゃ。ごめん、見間違いをしてしまって。言わなきゃ。謝らなきゃ。
 だけどやっぱり夢と同じで、言わなくてはいけないのに、口は回らない。
 カカシは言葉もなく立ち尽くしている。
 わたしが傷つけた。
 わたしはリンだけではなく、オビトも、カカシも、また傷つけてしまった。


『サホ、どうして好きにならないって言ってくれないの』

『サホ、どうしてリンを守ってくれないんだ』

『私の好きな人を、どうして傷つけるの』

『オレが守ったカカシを、どうして傷つけるんだ』


 走り出した。逃げ出した。弱虫で、卑怯者で、自分勝手なわたしは、またカカシを置いて。一人ぼっちにした。
 わたしたちは一人ぼっちだ。二人しかいないのに、一人ぼっちになってしまう。わたしが弱くて、カカシを一人ぼっちにする。
 ごめんなさい。もう傷つけたくなかった。カカシだけはもう二度と。なのにまた傷つけた。リンの好きな人、オビトの守った人、わたしのたった一人の――
 ごめんなさい。ごめんなさい。心の中では何度でも言える。一番伝えなければいけないときに、一番伝えなければいけない相手には、いつも伝えられないのに。



50 あの日の桎梏[しっこく]

20181229


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