18

 こちらも黎と彰悟がアンカーで走るようだ。彰悟はサッカー部なので、彼も足はとても速いと聞いている。

 黎と彰悟なら黎の方が速いだろうが、部活動対抗リレーはその部活動に関係あるものがバトンなので、球技の運動部は大抵ボールがバトンである。

 バレー部はバレーボールを抱えているし、同じようにバスケ部はバスケットボールだ。しかしこちらの方がドリブルして進んでいるので大変だろう。

 サッカー部も同じようにドリブルして進む。手と足では、どちらが難しいのだろうか。

 バスケ部とサッカー部は接戦だった。陸上部を抜かすのは諦めたようで、彼らは互いの部活に負けないように走ってる。


「凄いな……」


 両方ともドリブルをしながら走るのに、何であんなに速く走れるのだろうか。

 それでもやはり足よりも手のドリブルの方が速いようで、勝ったのは黎、バスケ部だった。

 部活動対抗リレーが終了し、彼らが退場する。部活動対抗リレーが終わった後にあるものは。


「次は私達か……」


 夏希は溜息を吐いた。面倒で仕方ないが、早く終わらせないとこの姿だと少し暑い。アピールなんて早く終わらせて、この浴衣を脱ぎたい。


「あ、行くみたいだよ」
「ん」


 進み始めた友人達に、夏希も歩き始めた。

 茶道部はトラックをゆっくり一周して終わりみたいだ。

 アピールといっても、茶道部は特に目立つようなアピールは外では出来ないので、少しでも目に付くように吹奏楽部の後ろを歩いていた。

 歩いている途中で、菖蒲と黎を見かけた。

 菖蒲達体操部は、グラウンドの真ん中でクルクルと回っていた。バック転やその他諸々の技を見せ付けていて、あちらも相当に目立つ。

 黎達バスケ部はドリブルしてパスをして、の繰り返しだ。

 そのままアピールタイムは何事も無く終えた。本当にアピール出来たのかは別として、だが。

 アピールタイムの後には綱引きがあった。こちらには拓弥が出場していて割と奮闘していたが、七組は残念ながら二回戦で負けてしまった。

 障害物競走には四季が出た。元々あまりやる気がなかったらしい四季は、めんどくさがりながらも無難に三位くらいでゴールした。

 大縄跳びは三年生だけで、その後にあった騎馬戦には彰悟が出場した。彰悟は上に乗り、大いに目立ちながらも優勝していた。

 そうして全ての競技が終了し、閉会式。

 優勝したのはリレーで大逆転した七組、つまり夏希達のクラスである。ノリの良いクラスメイトは大喜びし、大いに盛り上がっていた。

 夏希と菖蒲はそこまではしゃがなかったが、それでも優勝は素直に嬉しかった。

 閉会式が終わった後には、後片付けが待っている。教室から持ってきた自分の椅子を持ち、下駄箱の所で雑巾で脚を拭き、教室に持って帰った。


「何だかんだであっという間に終わっちゃったね」
「そうね、疲れたわ」
「うん」


 夏希が出たのは借り人競争と部活動アピールタイムだけが、何か物凄く疲れたように感じるのは何故なのだろう。やはり運動不足が原因だろうか。

 しかし明日は休みだし、ゆっくり眠るとしよう。


「夏希、帰りましょう?」
「んー。そういえば自転車なんだっけ……疲れてるのに、めんどくさいな」
「仕方ないわよ、そんなの。文句言ってないで、早く行くわよ」
「はーい……」


 夏希は体操着やら何やら荷物を持ち、教室を後にする。多分忘れ物は無いと思う。うん、大丈夫なはず。

 最早歩くのさえ面倒で仕方ないが、我慢しよう。あと少しでゆっくり出来るのだから。

 そう思って自分を奮い立たせ、夏希は疲れている中帰っていくのだった。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -