▼3/14
【沖斎】咲いたばかりだと言うのに、はらりと舞い、儚く散り行くその花弁に目を奪われた。「一君、置いてくよ」「…今行く」俺の手を引くように、総司の細い指が伸びた。こうして共に居られることに、胸の奥がじわりとする。「最期まで、一緒だからね」微笑むことしか出来ぬが、傍に居ると約束しよう。


▼3/10
【沖斎】一君のアパートで初めて迎えた朝。換気扇の回る音と、まな板を叩く音で目が覚めた。漂ってきた味噌汁の匂いと、布団からは一君の匂い。(やばい…)思いっきり緩んでしまった頬を押さえた。幸せな夜は、幸せな朝に繋がる。後ろから抱き締めるか、寝たふりをして起こしてもらうか。究極の選択。


▼2/28
**Link→ユウナギ様の沖斎イラスト&ブログから妄想**
【沖斎(幼少)】「…もういいよねー?」遠くまで隠れに行ったのかもしれないな、と僕はあの子を探し回った。けれど見つかりなんてしなくて、日が暮れそうになった頃、近藤さんが迎えに来た。どこに行ってしまったんだろう。まだまだ、たくさん遊びたかったのに。また、会えるかな。また、会いたいな。

【沖斎】「でさあ、急にいなくなっちゃって」何処か身に覚えのある話だと思った。…そうか、あの時の…。「楽しかったのは、僕だけだったみたい」「その様な事っ…!」「一君?」その日はとても楽しくて。忘れていた思い出が蘇る。ただあのまま、一緒に笑ってもいいのかと、怖くなって。「一、君…?」


▼2/23,24
【沖斎】あっという間にクラスで目立つ存在となったその人物が、今日も生徒の輪の中心に居る。ふと目が合えば、口角を上げて笑った。「ねえ委員長さん」満面の笑みの裏側に、何かがあるのではないかと。「何部に入るの?」剣道部だと答えたその数日後、剣道場で俺に手を振っていた人物こそ。「一君!」

【沖斎】「何故俺に声を掛けた」総司とこうして話すようになってから一年が過ぎた頃。その質問に驚いた瞳が俺を見つめた、次の瞬間。後頭部を掻きながら、ほんの少しだけ照れた顔が逸らされた。「笑わせたくて」「…?」「笑ったら、きっと可愛いんだろうなって思ったから。僕の勘は、結構当たるんだ」

【沖斎】「寂しいな、もう毎日会えなくなるんだ」普段捻くれている総司がこうして素直に話をするときは、何故かいつも、冗談なのではと思ってしまう。「もう引越し先は決まったの?」伝えた住所に総司の荷物が届くと同時、あの日と同じ笑顔が俺の名を呼んだ。「一君!」そうしてまた巡り来る桜の季節。


▼2/17
【沖斎】「やっぱりさ、露天風呂付き個室がいいよね」リビングで旅行パンフレットを捲りながら、総司が言った。「特にこだわる必要は無いと思うが…」「露天風呂付きに決まってるでしょ!!」「何故その様にこだわるのだ?」「だって、一君とイチャイチャしたいから!!」…総司の目が、本気だった…。


▼2/14,15
【沖斎】「ただい…ま?」電気が点いている。寝てていいって言ったのに、起きて待っているんだろうか。けれど物音一つしない。何事かと一君の姿を探して部屋を見回せば、ソファで寝息を立てている。「待っててくれたんだ、ありがと」思わず、笑みが漏れた。ただいまとおやすみのキスを、その唇に2回。

【沖斎】「総司…」目が覚めると、目の前にはすやすやと寝息を立てる総司が、スーツのまま俺の手を握り眠っていた。高校のころはよく見ていた寝顔だと、頬が緩む。疲れていただろうに、俺のことなど放って眠れば……。そう思いつつも、寝てていいと言われ起きていた自分も同じだなと、幸せが、溢れた。


▼2/11
【沖斎】「総司、どうっ…」「ん…」生暖かな感触が頬を撫でる。「泣いてる君が悪い」「泣いてなど…」総司が舐めた左頬が、冷やりとした。反対側の頬に触れれば、流した記憶も無いが、確かに涙で濡れていた。「泣きながら、僕の名前呼んでたから」見た夢など覚えていない。唯そこには、確かな温もり。


▼2/8
【沖斎(士魂蒼穹)】名前を呼べど返事が無い。すぐ後ろに居た筈の総司の姿が無い。「総…」息を、飲んだ。違う、その様な事があってたまるか。遺された刀に募ったのは、無力な自分への苛立ちと、怒りと、哀しみ。様々な感情が胸の中で渦を巻く。だがどうしたって総司は…。哀しんでいる暇など、無い。


▼2/5
【沖斎】「ほら、濡れちゃう」持っていた傘の中に強引に入り込んできた総司。俺の手から傘を奪い取り、肩を引き寄せた。別に、少し濡れるくらい…。「風邪、引かれたら困る」「何故?」「一君の熱っぽい顔見て、色々我慢できなくなっちゃうから、かな」「ばっ……!!」肩に触れた手に、力がこもった。


▼2/4
【沖斎】「今度僕の家にでも来る?」冗談めかして言った言葉に、君は飽きれると思っていた。「あんたが…迷惑でないのなら」照れた君が急に小さく見えて、抱き締めたくなった。別れ際にそんなことしたら、もっと離れたくなくなるって分かってたから。そわそわとしながら僕は今、君が来るのを待ってる。


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