▼5/5
【沖斎】瞼を閉じただけだったのだが、いつの間にか眠っていたようだ。目の前には、すやすやと眠る総司。夜の散歩から帰って来るなり、甘えるように俺にしがみついて離れようとしなかった。起き上がろうとしたが、繋いだままの手が温かくて。朝までこうしているのも悪くないか、と、溢れた幸せな溜息。


▼5/4
【沖斎】「はい、一君の」駅まで迎えに来た総司が、ビニール袋から取り出したのは缶ビール。「お疲れ様」明日は休みだ。もうすぐ日付が変わる。「総司…」「んー?」一口ゴクリと飲み込むと、こちらを嬉しそうに見下ろした。「少し、散歩でもして行かないか」「一君のお誘いならいくらでも付き合うよ」


▼4/25
【沖斎】僕よりも華奢で小さな身体。それなのに。君が僕の後ろに居る、それだけで怖いものなんて無いと思える。君なら大丈夫だって、君が居ればって、不確かでとても曖昧な理由だけど、なんでだろうね。眠る君を後ろから包み込んで、きつく抱き締めた。それなのに、明日が来なければ良いと思う、矛盾。


▼4/17
【沖斎】「総司、帰るぞ」会社の飲み会で、急に荷物を持って外に連れ出された。どうしたの、と聞いてみてもただ、僕の腕を引いて黙々と早足で歩くだけ。赤信号で立ち止まった彼の顔を覗き込めば口を曲げて不機嫌そうだ。「なに、もしかして一緒に話してた女の子たちに妬いた?」「だったら、何だっ…」


▼4/14
【沖斎】公開からしばらく経った映画は、座席が選び放題だ。内容は小難しくて、正直観ていて疲れる。隣には、映画に夢中な一君の真剣な横顔。(せっかく一緒に居るのになぁ…)君の肩に頭を預けて目を閉じる。ただ、一緒に居られるこの時間が幸せだと、僕は口元を緩ませた。瞬間、右手には君の温もり。


▼3/29
【沖斎】色づき始めた桜を見上げて目を細めた君が、何を想うのか。急にふっと口元を緩ませて微笑んだ。「どうした、総司」花見の席、隣の近藤さんが楽しくないのかと心配そうな顔をした。「楽しいに決まってるじゃないですか」伝えられないこの想いを抱えて、僕は君の気持ちを知りたいと桜を見上げた。


▼3/27
【沖斎】「ごめんね、もう直ぐ着くから」待ち合わせ場所では、既に一君が待っていた。こっちにはまだ、気付いていない。電話をかけて、彼を誘導した。…嘘だよ、本当は目の前じゃなくて。「…つかまえた」「総司っ…!」こんな駅前で堂々と後ろから抱き締めてやった。怒られたけど、幸せだから良いや。


▼3/19
【沖斎】「ほらね」昨日泊まりに来たときに土砂降りだった雨は上がっていた。「一君は雨男だと思うけど、僕と一緒に居れば大丈夫だよ」腑に落ちない、そんな顔をしている。「だから、雨男など根拠のないことを…」「いいんだよ。ほら、ぶつぶつ言ってないで。はい」差し出した手を恥ずかし気に繋いだ。


▼3/17
【沖斎】「バイバイ」改札を潜って一度さよならをする。階段を上りきればまた、向かい合わせのホームで顔を合わせる。にこりと笑ってやれば、顔を逸らされた。その横顔が可愛くて、僕は目を、逸らせない。到着した電車を見送ると、不思議そうに一君がこちらを見ていた。……ただ、君を見送りたいだけ。


▼3/17
【沖斎】「総司、何をしている」「何って…膝枕だけど」ソファで小説を読んでいた一君の太ももに、頭を預けて顔を見上げた。リアクションはわかってる、どうせため息をついて僕の名前を呼ぶんだ。「総司…」ほらね。「重い」「うん、そうだろうね」「分かっているなら…」「本じゃなくて、僕に構って」


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