ヴェイグたちといっしょ!
「ヴェーにぃ!トレトレ!!
こぶしはどうやったら、おはなししてくれるの?」
セネルたちと一騒動起こした翌日、ルークはヴェイグたちの元を訪れ、結局聞けなかった疑問をヴェイグとティトレイに聞きにきた。
「どういうことですか?
2人とも、ルークに何を話したんですか?」
「あまり下手なことを言うとルークは何でも信じる。
何を言ったのかは知らないが、誤解を招くような発言は控えろ、2人とも。」
「何を言ったの?」
たまたま一緒にいたアニー、ユージーン、マオはルークの言葉を聞いて何を吹き込んだのか問いかけた。
3人の視線を感じながらヴェイグとティトレイは口を開いた。
「…男は拳で語り合うものだ…と、言った。」
「それが出来ないと、いざという時に困るんだってことを忘れるな、とも言ったよな?
男なら拳で語り合えるようになっていた方がいいって言った記憶もあるぜ。」
「ルークに殴り合いをさせるつもりですか?」
「確かに、今のルークならまだ早いかもしれない。
だけど、男ならいつかは経験することになるし、早めに知って損はないだろ?」
「相手が何を考えているのか…、拳を交えれば分かることもある…。」
「…それは、お前たち2人に言えることであって、他のメンバーで拳を交えた、などと聞いたこともないぞ。」
「僕も殴り合いはごめんかな〜。」
「拳を交えることを殴り合いなんて言葉と一緒にすんなよな!」
「ティトレイの言う通りだ。
特に海辺で夕日を背に拳を交えれば更に分かりあえる。」
「…ヴェイグってクールなのか、熱いのか時々分からなくなるよね…、ユージーン。」
「そうだな…。」
目の前で夕日を背に海辺で拳を交えるシチュエーションについて盛り上がるヴェイグとティトレイを見ながらマオは困ったように笑った。
「ねえねえ!
うみにいったら、アシュにぃと…、こぶしで、おはなし…できるかな?」
「最高のシチュエーションだからな!
きっと語り合えるぜ!」
「そうだな。
今日の夕方にでも、アッシュを誘ってみるといい。」
「うんっ♪」
「ど、どうするんですか…?
このままだと、ルークはアッシュに殴り合いをしようなんて言いますよ…?
アザを作ったルークの治療なんてしたら、私…きっと泣いちゃいます…。」
「それは大丈夫だよ、アニー。
あのルークバカのアッシュがルークに殴りかかるわけないから!!」
「…もう俺たちでは、ルークたちの暴走は止められない。
アッシュに後を任せよう。」
拳を交えることについて熱く語るヴェイグ、ティトレイ、ルークにユージーンたちは後のことはアッシュに託すことにした。
言葉を変えれば、アッシュに押し付けた、とも言えるがユージーンたちではもう止める術がない。
良くも悪くも、素直に何でも信じるルークに下手なことを言えば更に問題はややこしくなる。
そんな言い訳をしながら、ユージーンたちは傍観を決め込んだ。
「ここにクレアがいてくれたら、多少は違ったかもしれないがな…。」
「クレアは今、ロックスと買い出しに出てるしね〜…。」
「でも…、アッシュさんもうまく対応できるといいのですが…。」
アニーの心配は当たり、海辺でルークと拳を交えさせられたアッシュは青アザを至るところにつけてバンエルティア号に戻り、一緒に帰ってきたルークはといえば「ぜんぜんおはなし、してくれないからつまらなかった…。」と少し不機嫌になりながら帰ってきた。
それを見たアドリビトムのメンバーは「ルークって戦ったら実は強いのか…?」と思ったという…。
※※※
なんか…、アッシュはアドリビトムに来てからヒドイ目にばかりあってる気がする…。
ごめんよ、アッシュ兄さん…。
でも、書いてる私は楽しいんだぜ☆
次は何編にしようかなぁ…?
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