ルカたちといっしょ!


「おっきいね!」
「…え?」



バンエルティア号のクエストカウンタの前で依頼の詳細をアンジュから聞いていたルカ、イリア、スパーダ、リカルド。


自分用に買ってもらった小さいほうきで掃除をしていたルークはそんなルカたちを見ていて何かを思ったのか、とてとてと近付き、ルカに向かってそう言った。



「えっと…?」
「ルカにぃ、おっきいね!」
「…?」
「ちょっとルーク。
ルカちゃまはそんなに大きくないわよ?
気が小さいヘタレなんだから。」
「おいおい、イリア。
そんな本当のこと言ったら弱虫ルカくんが泣いちゃうだろ?」
「うぅ…。
ヒドイよ、2人とも…。」



ニヤニヤ笑いながらルカを冷やかすイリアとスパーダ。
冷やかされたルカはすでに半泣き状態でリカルドは「俺はガキのお守りをするのはごめんだ」と完全に傍観体勢だ。



「ううんっ!
ルカにぃ、おっきいよ!
すごいね!ルカにぃ、かっこいーねっ!」
「…そんなこと言われたの初めてだよ。
ありがとう、ルーク…。
お世辞でも嬉しいよ。」
「おせじ??」



純粋な瞳を向けられ、カッコいいと言われたルカは照れくさそうに笑いながらお礼を言った。
対するルークはお世辞の意味が分からないのか、首を傾げていた。



「だいたい、ルカのどこが大きいのよ!?
背もそんなに高くないし、気は小さいし、ヘタレだし、すぐ泣くし!」
「でもねっ、ルカにぃはスッゴいよ!!」



ズバズバとルカのことを弱いと言うイリア。
イリアの言葉を聞けば聞くほど小さくなり、瞳を潤ませるルカ。
しかし、それでもルークはルカをスゴイと言った。



「…どの辺がスゴイんだ?」



その場にいる誰もが疑問に思ったことをスパーダが問いかけた。
その問いかけにルークはにっこり笑いながらルカの背中の方を指差した。



「なるほどね〜…。」
「つまり、ミルダの背中にある剣を見てスゴイと言ったというわけか。」
「うぅ…。
どうせ僕なんて…、」
「だって、ルカにぃは、おっきいけんをもって、みんなのためにたたかうんでしょ?
せーぎのヒーローだよっ!」



カッコいい、と連呼し興奮するルークの言葉にイリアは笑った。



「弱虫ルカちゃまがヒーロー?
ルーク、人を見る目はしっかり養いなさいよ?」
「むぅ…。
イリャねぇは、ヒーローをいじめる、かいじんなの?」
「なッ!?」
「ぶっ…!」
「スパーダ!!
笑うんじゃないわよ!」



ルカをヒーローと信じて疑わないルーク。
イリアはそんなルークに怪人呼ばわりされ、それを聞いたスパーダは笑いを堪えられず、思わず吹き出した。
スパーダに笑われたイリアは顔を真っ赤にしてスパーダに怒りの声をあげた。



「ルカにぃは、つよいの!
おっきいちからで、たたかって、みんなをまもるんだから!」
「ルーク…、でも僕は…。」
「ミルダ、相手は小さな子供だ。
子供の夢を壊す必要はない。」
「でも…、」
「あながち間違ってはいないだろう。
身の丈ほどある大剣で戦うなんて誰にも出来ることじゃない。
ガキは嫌いだが、ミルダのことを強いと言ったファブレの気持ちを察してやれ。」
「……そう…ですね…。」



リカルドに諭され、ルカは戸惑いながらも頷いた。
普段は気が弱いルカだが、周りの人を守ろうとする時、普段の気の弱さがウソのように頼りになる。
それは、イリアもスパーダも、そしてギルドの仲間たちも知っている。

きっと、この子供もルカのそんな強さに気付いたのだろう。
ガキのお守りは嫌いなリカルドだが、ルカの良さを見抜いたルークを悲しませる必要はないと自然と思えた。



「ルーク!
私は怪人なんかじゃないわよっ!」
「…?
じゃあ、スパイ?」
「あんた、お世辞の意味は知らないのに、なんでスパイは知ってるのよ!!」
「ルカにぃ、シュパにぃ、リーおじたん!
イリャねぇは、スパイなんだって!」
「誰もスパイだなんて認めてないでしょ!!」
「じゃあ、ボスだっ!」
「誰がボスよ、誰が!」
「あながち間違ってもいないんじゃねーか?」
「スパーダ!あんた、どさくさに紛れて何言ってんのよ!!」
「ルカにぃ、イリャねぇはスパイでボスなんだって!
ヒーローのちからをみせてっ!」
「えぇっ!?」
「だいたい、スパーダ!
あんた、どっちの味方なのよ!?」
「ルカからしたら、イリアはボスみたいなモンだろ?」
「それはルカがヘタレだから鍛えてあげてんじゃない!」
「やっぱりボスじゃねぇか。」
「はあッ!?」

「…いつになったら依頼内容を伝えられるのかしら…?」
「しばらくは無理だろうな。」
「ハァ…。」



ルカとルーク、イリアとスパーダの2組は話に夢中になりすぎてアンジュは依頼内容を説明できる雰囲気ではなくなってしまったことに対してため息をついた。
リカルドも壁に背を預け、止めようとはせず、4人はわいわいと騒ぎあっていた。



「…何の騒ぎだ…?」



少しして依頼を終え、帰ってきたアッシュはその状況に眉を寄せた。
更にアッシュに気付いたルークが「アシュにぃ!!イリャねぇはねっ!ボスでスパイなんだって!」と言い、それを信じたアッシュは「スパイだと!?クズが!俺が退治してやるっ!」と言いながらいきなり抜刀し、イリアに斬りかかり、その場は更なる混乱に満ちた。



そして、堪忍袋の緒が切れたアンジュに長い説教を食らうはめになった。



※※※



なんじゃこりゃ。
ぐだぐだですいません…。

アッシュさんはルークの言うことなら何でも信じます。
その結果、アンジュの有り難いお説教を聞くはめになりました(笑)

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