ユーリたちといっしょ!





「ユーリ〜ッ♪」
「おわっ!」



ここは自由のギルド、アドリビトム。
アドリビトムの拠点でもあるバンエルティア号の中で小さな子供がユーリの背中めがけ、思いっきり飛びついた。

背後からいきなり飛びつかれたユーリは少しよろめいたが、転倒することは何とか避けられた。



「ルーク、いきなり飛びつくなよ。」
「ルーク様。
ケガをされるようなことがあったら、大変です。
あまり無茶は…」
「あら?
男の子は元気よく走り回るくらいがちょうどいいと思うわよ?」
「元気なのはとてもいいことです。」
「おっさん、元気な子は好きよ?」
「あっそ。
それで?何か用があるんじゃないの?」



レイヴンの言葉を軽く流したリタはルークにそう問いかけた。



「あそぼっ!ユーリッ!!」
「ルーク坊っちゃんから直々のご指名ですか。」
「ユーリ!
ルーク様に対して馴れ馴れしいぞ!」
「へいへい。」
「ユーリ、僕の話をきちんと聞いていないな?」
「フレにぃ!」



フレンのお小言を右から左へ聞き流すユーリにフレンはため息をつきながら呆れた表情を浮かべた。
その会話に耳を傾けていたルークはフレンの名前を呼び、マントを掴み、くいっとひいた。



「はい。
お呼びでしょうか?ルーク様。」
「フレにぃ!
けーごはナシがいい!」
「ですが…。」
「ダメ…?」



敬語は使ってほしくないと言うルークにフレンは戸惑った。

ライマ国の王位継承権のある、ルークの頼みでも二つ返事で了承はできないと考えたからだが、うるうると瞳を潤ませて見上げられてしまえば、NOとも言えない。



「いいんじゃないの?
本人がそうしてほしいって言ってるんだから。」
「ここで断ってルークを泣かせたらアッシュが怒ってしまいそうです。」
「ふふ、彼はルークが可愛くて仕方がないカンジだものね。」
「フレにぃ…。」
「わ、わかりました。
努力します。」
「ほんとっ!?
フレにぃも、おれとなかよくしてくれる!?」
「ルーク様さえ、よろしければ…。」
「フレン。
敬語はナシじゃなかったのか?」
「あっ!!
そうだった…。」
「少しずつでいいんじゃないの?
すぐには慣れないと思うし…。」
「さてさて。
問題も解決したところで、ルーくん。
おっさんと遊びましょ!!」
「わーい♪レイおじたん!
あそぼー♪」
「ルーくん。
おじさんはひどくない?
おっさん、傷ついちゃうかもよ?」
「自分で自分のことをおっさんなんて呼んでるくせに、何言ってんのよ。」



バカじゃないの?と呆れたように言ったリタにレイヴンはしゃがみ込み、「リタっち、ヒドイ…。」と呟きながら泣いたフリをした。



「おじたん、なかないで?」



そして、そんなレイヴンを見たルークはとてとてと近付き、しゃがみ込むレイヴンの頭を撫でながら慰めの言葉をかけた。



「ルーくん…。
優しい子だねぇ、いいお嫁さんになれること間違いナシねっ!」



ルークに慰められたレイヴンはギュッとルークを抱き締めた。



「ちょっと!
ルークにくっつかないでっ!
おっさん菌が移るでしょ!?」
「ねえ、ジュディスちゃん。
リタっち、なんか今日はいつもよりも3倍くらいキツくない?」
「どうかしらね?」
「ねえねえっ!」



容赦なくレイヴンに毒を吐くリタにジュディスはくすくす笑いながら首を傾げた。
そんな会話にルークが割って入ってきた。
遊びに来たのに遊んでくれないことを不満に思ったのかと感じたユーリたちはルークの言葉を待った。
そんなユーリたちに、ルークはこう言った。



「およめさんって、なあに?」



ルークの問いかけに全員が固まった。
てっきり、「はやく遊んで!」とでも言われると思っていたこともあり、ルークの言葉の意味を理解するのに時間がかかった。



「…花嫁とも言うんだが、意味は分かるか?」
「…??
はなよめ?
おはなをよむの?
ごほん?」
「いやいや…、そうじゃなくて…。
言っておくが、花を読むんじゃないし、本でもないからな。」
「…じゃあ、たべもの?」
「……あ〜……、フレン。
頼む。」
「いきなり僕にふるなよ…!」



首をこてんと傾げるルークにユーリは説明を放棄したのか、フレンにバトンタッチした。
いきなりバトンタッチされたフレンはギョッとした。
更にルークの不思議そうな瞳を向けられ、フレンは「うっ…。」と口ごもった。



「フレにぃ?
はなよめって、なあに?
おいしいの?」
「…花嫁…というのは…、その…。」
「簡単に言えば、好きな人と一緒にいますって誓いを立てることです。」



純粋無垢な瞳を向けられ、だらだらと汗を流すフレン。
ここで下手なことを言えば、ルークは花嫁について間違った認識をしてしまう。
ぐるぐると色んな答えが頭を巡る中、エステルが簡潔にそう説明した。
エステルに説明されたルークは少し考え込んだあと、ユーリたちを見ながら、口を開いた。



「じゃあ、おれね!
ユーリとー、フレにぃとー、エシュねぇとー、リタねぇとー、レイおじたんのはなよめになるっ!!」
「ブーーーーッ!!」
「ちょっと…!
汚いじゃない、ユーリ!!」



いきなりの爆弾発言にフレンに後を任せ、呑気に飲み物を飲んでいたユーリは盛大に噴き出した。
リタに怒られたユーリだが、ユーリはそれどころではなかった。



「お前…、何股かける気だよ?」
「いやいや、青年。
突っ込むところは他にもあるでしょーよ?」
「なんまたって、なあに?」
「…もういい…。」



ユーリの言葉に再び首を傾げるルークにユーリはため息をついて頭を抱えた。

余談だが、依頼を終え、帰ってきたアッシュにルークは「おれね、アシュにぃとも、はなよめになるっ!!あとね、“なんまた”ってなあに?」と言い、それを聞いたアッシュは壁に思いっきりぶつかった。

そのすぐあと、アッシュはすぐさま、余計なことを吹き込むな!!とユーリたちに文句を言いに行ったのは言うまでもない…。



※※※


はい。
ヴェスペリアのメンバーと戯れるルークでした。


こんなカンジで他のシリーズとルークの戯れを書きたいと思います。

言うまでもありませんが、ルークはバンエルティア号にいる仲間全員に「はなよめになるっ!!」と言ってまわっております(笑)


閲覧、ありがとうございました!
次は何のシリーズにしようかなぁ
(*´∇`*)



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