なまえ?




「お!ルークン!!」
「あっ、ロイドー♪」



アッシュからお許しが出てロックスやクレアの手伝いをするようになったルーク。
ロックスに頼まれ、せっせと掃除をしているルークにロイドが声をかけた。



「掃除をしてるのか?
えらいな!」
「うんっ!
ピッカピカにして、アシュにぃがかえってきたときに、ビックリさせるんだっ!」
「ルークンが掃除を頑張ったことを知ったらアッシュもまた誉めてくれると思うぜ!!」
「うんっ!
がんばるっ!」
「俺はまだ依頼は入ってないから手伝ってもいいか?」
「てつだってくれるの?」
「当たり前だろ!」
「ありがとっ!」



ロイドが掃除を手伝ってくれると知ったルークは嬉しそうに笑った。



「ロイドとルークンじゃないか。
掃除をしているのか?」
「2人だけだと大変ですよね?
私達も手伝います。」



楽しそうに会話を交わしながら掃除をするロイドとルークに気付いたのはセネルとシャーリィ。
セネルとシャーリィも当たり前のように掃除を手伝いはじめた。



「〜〜〜♪」
「ルークン、ご機嫌だな?」
「うんっ!
みんなといっしょのそうじ、すっごくたのしーんだっ!」
「今、歌ってたのってティアの譜歌だよな?」
「そーだよっ!
ティアねぇ、よくうたってくれるんだっ!!」
「そうか。」
「ルークンも歌、うまいな?」
「ほんとっ?」
「うん。
私も上手だと思うよ。」
「てへへっ♪」
「ルークン、そこの汚れを取るならこっちの方がよくないか?」
「ありがとっ、ロイドっ!」
「ルークン、そこにあるホウキを取ってくれるか?」
「うんっ!」



楽しそうに会話を交わしながらも、掃除を続けるルークたち。



「ロイドのにとーりゅー、カッコいいねっ!」
「そうか?
まあ、剣が1本より2本だと2倍強いしな!」
「おれも、おっきくなったら、にとーりゅーになるっ!」
「ルークン、拳で戦うのもなかなかいいぞ。」
「こぶしは、おとこどーしだと、かたりあうんだよねっ!
トレトレがいってた!」
「トレトレ?」
「あ、ティトレイさんのことだと思います。
ノーマさんが、トレっちって呼んでたので、それを真似して…。」
「ノーマの奴…、ルークンによけいなことを教えるなよ…。」



ルークがティトレイのことをトレトレと呼ぶ理由を知ったセネルはため息をついた。
ロイドは、いいんじゃないか?と言いながら笑っていた。



「なんだよ、ずいぶん賑やかだな。
掃除してるのか?」
「あっ!
ユーリ〜!!」



和気藹々とした空気が流れる中、依頼を終えたユーリが帰ってきた。
アンジュに報告したあと部屋に戻ろうとしていたユーリは途中で掃除をしているルークたちを見て、声をかけた。



「ルークン1人でこの辺りの掃除をするのは大変だろ?」
「私達に、依頼はないので、ルークンの手伝いをしてたんです。」
「ルークンが頑張って掃除をしてるのに、依頼がないからって部屋でのんびりなんてしてられないからな。」
「………ちょっといいか?」
「「「……?」」」



ロイドたちの話を聞いていたユーリは1つ、気になって仕方がないことがあった。



「どうしたんだ、ユーリ?」
「……ルークンってのは…、愛称じゃないよな?」
「何言ってるんだよ、ユーリ!!疲れてるのか?」
「きちんとした名前…分かって言ってるよな?」
「ルークン・フォン・ファブレがルークンのフルネームだろ?」



不思議そうな表情を浮かべる3人の言葉にユーリは「あちゃあ…。」とでも言わんばかりの表情を浮かべ、額に手をあてた。



「ルークンってのは、ノーマが勝手につけた愛称だ。
正確にはルークンじゃなくてルーくんだがな。」
「え…?」
「ちょっと待てよ…。」
「じゃあ、本当の名前は…?」
「ルークだ。」



ユーリに言われ、ようやく本当の名前を知った3人は固まった。
無理もない。
ずっと“ルークン”がルークの名前だと思っていたのだから。



「あ…、でも、食堂で名前を聞かれた時にみんなに『ルーくんです』って名乗ってたよね…?」
「他のみんなもルークの名前はルークンだと思ってるだろうな…。」
「こうなるかもしれないとは思ってはいたんだがな…。
先に言っておけば良かったな…。」
「…ルークもなんで、ルーくんだなんて言ったんだ?」
「ニックネームで呼ばれたのが嬉しかったみたいだぜ?」
「うんっ!
ノーねぇが、はじめてニックネームつけてくれたんだっ♪
うれしかったよっ!」



ルークは初めてニックネームで呼ばれたのが、よほど嬉しかったらしい。
満面の笑みを浮かべるルークを見れば、「ルーくんです」と名乗ったのは嬉しさからだとすぐに理解した。



「…よりによって、最初にニックネームで呼んだのがネーミングセンスのないノーマなんて、運がなかったな…。」
「王位継承権のある、ルークをニックネームで呼ぶ人なんて、ルークがいたお城では考えられなかったのかもしれないけどな。」
「みんなにもルークンじゃなくて、ルークが本当の名前だって伝えておいた方がいいよね?」
「そうだな…。」



シャーリィの言葉にセネルとユーリはため息をつきながら頷いた。
ルーク本人はため息をつく理由が分からないのか、きょとんとした表情を浮かべながら首を傾げていた。


結局、ルークの名前がルークンだと勘違いしていたのは、初めてルークがアッシュたちとアドリビトムにきた時にノーマと一緒にいたユーリ、エステル、ミントと、ルークと以前会ったことのあるウッドロウ以外全員でルークの本当の名前を伝えるのに3時間ほどかかったという…。



※※※


はい…。
ルークのことをルークンだと勘違いしていたことを知るメンバーでございます。

ルークンが名前だと思ってるのでみんな、躊躇いもなくルークンと呼んでいたわけですが…。

それを知って一番恥ずかしいと感じたのはリオンとジューダスです。

「僕に恥をかかせるな!」
なんて言ってたりするんじゃないでしょうか。


次からはそれぞれシリーズごとにルークを愛でてもらおうと思います。

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