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97.過去に起こった悲劇について


マダラに心臓を貫かれ、消滅したはずの意識が再び覚醒した俺を出迎えたのは、自らを忍宗の開祖・六道仙人と名乗る人物だった。そいつは伝えるべきことや託すべきもののために条件が整った今、俺らの精神世界にチャクラを通じて飛んできたらしく、こちらが聞く姿勢を見せると足元の水面にいくつもの絵を映しながらポツポツと語り始めた。
全ての始まりとなる母・大筒木カグヤのこと。強い瞳力とセンスを合わせ持ち天才と呼ばれた兄・インドラと、何をやっても上手くいかない落ちこぼれの弟・アシュラと言う息子たちのこと。

「愛こそが全てを可能にすると悟ったアシュラの生き方に新たな可能性を見出し、皆を導く忍宗の後見人とした。インドラも弟に協力してくれるだろうと思ってな。だが、兄はそれを認めず、その時より長きに渡る争いが始まったのだ。そして肉体が滅んでもなお、二人の作り上げたチャクラは消えることなく繋ぎの者の導きの下、時を置いていくどとなく転生した」

ここまで言われれば、嫌でも分かる。インドラのチャクラが俺の中に存在するのだとしたら、アシュラのチャクラはナルトの中に存在しているに違いないと。

「やはりお前も感じていたか」
「ああ。なら、俺たちの前は初代火影とマダラか?」
「そこまで気づいているとは……ただ、マダラは転生者を終える前に一つの問題を作ってしまった。力にとり憑かれたマダラは柱間の力を奪い、お互いのチャクラを融合することでワシ自身の力である輪廻眼を開眼したのだ。そうなってしまった時のためにお前たちの元に残した石碑も意味を成さなかったらしい」
「だからこそあんたは、人繋ぎと言う存在を生み出したんだろ? 自分の代わりにその時代に干渉し、転生者を監視させるために」

人繋ぎとはその時代に適した立場に転生を繰り返すと同時に、時代をまたぐことが出来ない存在であると大蛇丸が保管していた資料に記されていたその意味がようやく分かった。インドラとアシュラの転生者が変わるごとに己の意思と関係なく寿命を迎え、新たな環境で再び誕生するそいつらは、なまえは言ってしまえば六道仙人の分身であり、傀儡なのだ。

「俺たちの因縁がインドラとアシュラとしての側面を帯びてくるに連れて、あいつも不知火なまえではなく人繋ぎとしての力を急激に強めていった。それも、あんたが仕組んだことなんだろ?」
「仕組んだのはワシではなく、繋ぎの者だ。カグヤの最大の理解者だった繋ぎの者は鬼と恐れられるようになってしまったカグヤに人一倍心を痛め、やがて自らの魂とチャクラの一部を切り離し、そこに強い暗示をかけた。インドラとアシュラの転生者を見守り、もしカグヤの力に近づこうとする者が現れた時は命に替えてでも阻止するようにと」
「どう言うことだ?」
「繋ぎの者はカグヤの傍にいながら無限月読を止めることが出来なかった自身を責めた。そして、幻術の犠牲となった多くの人に対する贖罪の気持ちから僅かな可能性にさえも目を光らせ、危険な芽は確実に摘みとるつもりだったのだろう」
「フン、下らないな」

六道仙人の言葉を鵜呑みにするのなら、なまえは遥か遠い昔の人間の身勝手な罪悪感に振り回されているということだ。どこまでも明るく暖かな世界で生きていくのだろうと感じさせるほどのあいつが。

「だからこそ、お前たちにマダラを止めて欲しいのだ。人繋ぎの因果を断ち切るためにも……サスケよ、お前はこの戦いの果てに何を望む? 正直な考えを聞きたい」

イタチの想いを受け取り、火影たちの言葉に耳を傾け、忍とは里とは何かを理解した俺のやるべきことはただ一つだ。

「俺は──」

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