鳴門 | ナノ
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92.


「火遁・豪火滅却」
「火遁・爆風乱舞」

迫ってくる炎の津波に対抗するべく召喚した二体の影分身と一緒に前線へと飛び出した。

「水遁・縄縛りの術」
「風遁・大突破」

直前で交わした目配せの意図を正しく読み取り隣へと降り立ったゲンマの放った術が私のと合わさると、威力を増して目の前のそれへと向かっていく。そしてお互いの術がぶつかり、灰色くにごった煙を巻き上げながらギリギリのところで相殺された。それでもなお、二人の猛攻が止まることはなく視界を遮る煙の切れ目からマダラさんの須佐能乎からは八坂ノ勾玉が、トビさんの神威からは大量のクナイがそれぞれ放たれ、今度はナルトが全員へ分け与えた九尾のチャクラで一つ残らず弾き飛ばす。

「いくらなまえのサポートがあるとは言え、皆を庇い防戦一方になってきているぞ。ナルト。この状況に意味はあるのか?」
「独りになりたいテメーには分かんねえだろうけどよ、近くに皆がいてくれる。俺はそれがスゲー嬉しいんだよ! それだけで力が湧いてくる!」
「ナルト! 十尾が……」

まるでナルトの心からの叫びと呼応するかのように十尾が大気を震わせるほどの雄叫びを上げた。骨と皮だった全身に肉をつけていくに連れて上空を分厚くうす暗い雲が覆い、バリバリと爆音を轟かせながら何本もの稲妻が大地に突き刺さった。

「ようやくか。さて、お楽しみはこれからだ」
「今度こそ十尾を消す!」
「狙っていたようだが、それは俺も同じだ。カカシ!」
「カカシ先生!」
「ナルト、こっちを頼む」

トビさんと一緒に神威の時空間へと飲み込まれたカカシ先生の身を案じる間もなく雷、竜巻、暴風と次々に降りかかる天変地異に足元がみるみる削られていく。終いには一際強く走った閃光に目が眩み、次に視覚が戻ったころには辺りの地形がすっかり変わり果てたあまりの惨状に開いた口が塞がらなかった。
周りを見てもチャクラの衣があるにも関わらず四方八方に倒れ込んだ皆がうめき声を漏らす一方で、私の表面にも同じように感じはするものの衣を形作るほどではない。にも関わらず目立つような傷は負っていなかった。一体、どうして。

「……っ、なまえ、無事か?」
「ゲンマ……」
「、ああ……ナルトが守ってくれなかったら間違いなくやばかっただろうな」
「繋ぎの者は時代をまたぐことは出来ない。言い方を変えれば十尾の天変地異を食らおうとその時が来るまでは決して死ぬことはない……ここまで来ると最早呪われた血だな。周りと足並みを揃えることすら出来ないお前が生き方を選ぶだと?
笑わせる」
「なまえ、そんな奴の言葉なんか聞く必要ねえ!」
「お前もどれほど強がろうとチャクラの衣を保てないのならここまでのようだな。次の楽しみも出来たことだし、そろそろご退場願おうか」

あごと胴体の境目がなくなるくらい大きく開いた十尾が口元に高濃度のチャクラを溜め込み始めた。

「どんどんでかくなってやがる……」
「ナルトのチャクラなしであれをどうやって……」
「ここへ来て今さら私たちがブレてもどうしようもないでしょ! 私はナルトを全快させる。ナルトがやるべきことを精一杯やってくれているように、私たちも私たちのやるべきことをするのよ!」
「シカクさん、シカマル、30秒で良い……あれを食い止める方法を考えて欲しい」
「何をするつもりだ?」
「私の術なら防げるかもしれない。ただ、あそこまで大きなものを受けれるだけの結界を張るにはどうしても時間がかかる」
「……ちっ、こうなったらなるようになれだ! いの、俺と黄ツチさんを繋げてくれ」
「いのいち、俺たちは戦場にいる全ての忍と心転身で繋げる準備だ。いのと手分けしてシカマルの作戦を伝えてくれ」

打ち合わせもなく即座に役割を分担してみせる二人ならきっと良い手を考えてくれるに違いないと、私も自らの手のひらにクナイを突き立て、滴る血をインク代わりに地面に文字を描いていく。荒々しく書き殴られた"衞"の一文字は二尾の火球を受け止めた時よりも画数が多い分、元々の強度はあるけれどここから込めるチャクラ量によっていくらでもより固くなっていく。
岩隠れの忍を筆頭に皆が土の壁を作り時間を稼いでくれている間に少しでも多くのチャクラを練り込んでいると、ふとゲンマの手が両肩へと乗せられた。

「ゲンマ?」
「ナルトほどじゃないが、俺のチャクラでもないよりはマシだろ?」
「なまえ、まだか!?」
「ありがとう、ゲンマ。行くよ、シカマル!」

宙へと浮かび上がった"衞"の文字と、何重にも張られた土の壁を次々と打ちやぶりいよいよ目前に迫った尾獣玉が衝突した瞬間、凄まじい衝撃が私たちを襲った。

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