鳴門 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
91.


「──つまり、今のあんたは俺の言うことを聞かざるを得ない微妙な立場にある。忘れるな」
「あのジャリがずいぶんと強かになったものだな」
「昔からあんたを仲間だと思ったことはない」
「フッ……それで良い。なら、次にどうするかお前が決めろ」
「続きだ。絶望を教えてやるのさ……丁寧にな」

木遁・挿し木の術、と十尾が自らの尾を高く持ち上げた次の瞬間、無数の木製の槍が地面を削るほどの勢いで降り注いだ。ヒアシさんやネジ、ヒナタを中心にどうにか凌いではいるものの一向に止む気配のない槍の雨は間を縫うように次から次へと降り注ぎ、仲間の命をいとも容易く奪っていく。隣にいたサクラの頭上に迫る一本に気がつき、咄嗟に引き寄せることで回避させつつどこかに突破口はないかと周囲の状況を窺っていると、再び高い位置で構えた尾から放たれた新たな槍がナルトをピンポイントで狙っている光景が視界に飛び込んできた。
ヒアシさんからは距離があり、ネジやヒナタでは防ぎきることは難しい。だが、神威ならギリギリ間に合うかもしれないと左目の写輪眼にチャクラを込めようとした次の瞬間、まるで槍の雨と俺たちを隔てるように空中に浮かび上がったチャクラ糸が縦横無尽に張り巡らされた。

「火遁・龍火の術!」
「火遁・糸縛りの術」

その上を火の道が走り、形成された火遁の網が敵の攻撃を受け止め一つ残らず燃やし尽くしていく。

「フン……どうやら今世の繋ぎの者はお前の想像を遥かに上回る落ちこぼれだったようだな。オビトよ」
「なまえ……」

いくつもの影がナルトを守るようにこちらへ背中を向ける形で降り立った。シカクさんやいのいちさん、戦争の犠牲になったはずの彼らの先頭に立つなまえは格好こそ暁の外套に身を包んではいるものの、その立ち位置が俺たちの味方であることを分かりやすく示していた。

「なまえ、なぜそこにいる?」
「自分のやるべきことを見つけたから」
「やるべきことだと? 自らの意思で死に際すら選べないお前に何が出来る? 元の人格を取り戻したくらいで調子に乗るなよ!」
「でも、生き方はいくらでも選べる。イタチさんやゲンマの言ったことも今なら理解出来ます……私は人繋ぎである前に木ノ葉の不知火なまえです!」

迷いの晴れた声でまっすぐに見据えたオビトへ宣言するなまえの隣に並ぶゲンマを見遣る。
一度は諦めたようなことを言っていたのに、やはり兄妹の繋がりを断ち切れなかったのか。とは言っても、おそらくそうなるだろうと察しがついていたから俺も手を貸したわけだが。とにかく、場数を踏んだ忍としては甘いと詰られても文句は言えないゲンマの情がなまえを取り戻したのだ。
額に青筋を立てるオビトとは裏腹に、俺はつい綻ぶ口元を抑えられそうになかった。

「……良いだろう。なら、お前もそいつらと一緒に無限月読の礎となるが良い!」

prevnovel topnext