鳴門 | ナノ
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78.


「─────誰だ?」
「私だよ。久しぶりだね? サスケ」

マダラさんを見送った後気まぐれでサスケの元を訪れてみると、両目に包帯が巻かれていてどうやらイタチさんの目を移植したばかりのようだった。

「なまえか、そう言えばお前も暁にいたんだったな」
「あなたが里を抜けたのと同じ頃にね。暁に協力して八尾を狙ったとは聞いていたけど、こうして話すのは木ノ葉にいた時以来かな?」
「今更昔話に華を咲かせる気はないが、一つだけ。お前が里を抜け、ここにいることには興味がある」
「……サスケは人繋ぎについては?」
「大蛇丸が集めていた資料で読んだことがある。独自の術を使いこなし、特殊な一族だと」
「うん。簡単に言うとその人繋ぎが私で、暁にいると都合が良いから」

人繋ぎの目的まで話そうとすると長くなるし、サスケもそこまで深く掘り下げて聞きたいと言うわけでもないのだろう。多少強引に切ってもそうか、と返してくるだけでそこから続くことはなかった。

「なまえ、ここにいたのか?」
「マダラさん!」

お互いに交わす言葉もなく、しばらくそのままでいるといつの間に戻ってきたのか。そしてこの間に何をしてきたのか、今までと違い両目が開いた新しい面をつけたマダラさんがそこに立っていた。

「今から話がある。ついて来い」
「はい」

言われるがままマダラさんの後ろについてやって来たのは何の変哲もない森の中。アジトからも少し離れ、まるで誰にも接触させないためのような場所。

「なまえ、間もなく戦争が始まるがその前にお前の力を完成させておきたい。覚悟は出来ているか?」

一粒の迷いもないと言ったら嘘になるけれど、どちらにしろ私に残された時間はそう長くはない。なまえとしての人格が完全に消える瞬間がマダラさんの手によってほんの少し早まるだけだ。覚悟だなんて。

「はい。いつでも」
「良い返事だ。なら、さっそく始めるとしよう」

パカッと僅かに浮いた仮面の隙間から覗く血の色と目が合った瞬間、ドボンッと暗い水の底へと沈む音を聞いて、私はなまえと言う存在に別れを告げたはずだった。







何万と言う忍が同じ印を背負って幕を開けた大戦は目にも止まらないスピードで流れていき、一足先に動き出していた奇襲部隊が早くも合図となる赤い狼煙を打ち上げた。

「行くぞ!」
「ム!」

ガイやサクラ達を率いて狼煙の流れ方を頼りに向かった先で今まさに刺されそうになっていたサイと敵の間に割り込んでクナイを受け止めれば、懐かしい顔触れと出くわして改めてこの穢土転生の術に怒りを覚えた。

「カカシさん、助かりました!」
「安心するのは早いかもしれないよ。こいつ等厄介な忍ばかりだ」
「戦うことになるのは分かっていたが、まさかお前だったとはな。カカシ、あの橋の上でお前等に止めを刺されて俺は地獄に行くはずだったのに気がつくと白と同じ場所にいた。おかしいとは思ったが、ここはどうやら地獄でも天国でもないらしい」
「ここは現実つの世界。もうお前達の来る場所じゃないのさ」
「再不斬……白……」
「ほう? 大きくなったな、カカシの部下のくノ一。あの小僧は元気にしているか?」
「え? う、うん!」
「俺達を負かしやがったんだ。今頃はデカくなりやがってるだろ? 名前もな?」
「ああ。あの橋はナルト大橋って名がついたし、今じゃ里の皆に英雄・奇跡の少年なんて呼ばれてる。お前等のおかげでナルトは己の忍道を見つけることが出来た。そして、それをお前等の墓の前で誓ったんだ。あの時からブレない立派な忍に成長した」
「なら、彼はもっと強くなる」

こいつ等を操っている黒幕が本格的に動き出したらしい。ピクンと二人が小さく反応したかと思うと、あの時と同じように再不斬の背後に鬼の頭を模した気迫が立ち込めていくのを感じた。

「カカシ、俺達を……止め……」
「くっ、意識が遠のいていく……!」
「構えろ! 気を抜くなよ、ガイ。サイレントキリングでこいつの右に出る者はいない!」
「カカシさん、もう一度僕達を止めてください。僕の夢は道具として再不斬さんを守り抜き、死ぬことだった……こうして再不斬さんもこの術にかけられていると言うことはあの時僕はあなたから再不斬さんを守り切れなかったと言うこと。そして守るどころか今は再不斬さんの道具にもなれない」
「いや、君は再不斬を守った。彼が死んだのはもっと別の理由……そして再不斬は君のことを道具だなんて思っちゃいなかった」
「カカシ、余計なことをベラベラと」
「ナルトが再不斬の心の奥を浮き彫りにしたのさ」

忍として半人前だったからこそ、あの時のナルトの真っ直ぐな言葉が再不斬の心に届いたのだ。

「フッ……あの時俺は初めて負けた。カカシ、容赦をするな? 俺をどんな手を使ってでも止めろ。俺達はもう死んだ……人間として死んだんだ!」

額当てを押し上げて左目の写輪眼を開眼する。言われなくても分かっている。躊躇えば仲間が死ぬことになり、何より二人の絆を踏みにじることになることを。

「来るぞ!」

なまえはどこで出て来るつもりなのだろうか。人繋ぎの因果を断ち切ってやると約束した以上、あの子が飲み込まれてしまう前に大戦の最中で会わなければならない。その方法が見つかったわけではないが、会って直接言葉を交わさないことには何も始まらないのだから。

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