鳴門 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
105.


二人の背中が見えなくなってからしばらくすると、強大なチャクラがぶつかることによって起こる地響きがここまで届いてくるようになった。
どちらが勝っても彼らの戦いがこの時代において最後の戦いになることは間違いなく、出来ることならナルトとサスケを中心としたこの時代が終わりを迎える瞬間を見届けたいところだが、その役目はあくまでこの時代に生まれたなまえのものであり、先代の私が安易に代わって良いものじゃない。それに、この体を借り続けるのもそろそろ限界だ。

「……逝くのか?」
「うん」
「そうか……俺は一度はマダラと手を組み、忍の世界を無茶苦茶にしてしまった。なのに、お前に礼の一つを告げて俺だけがのうのうと生きていくなんて……」
「フフッ、バーカ。人繋ぎの力によって死の運命を捻じ曲げられたあんたは、今ここから新しい人生を始めるの。いつまでもウジウジ後ろを向いていたら流石に怒るよ」
「だが……」
「オビト! ……もう良いんだよ」

九尾が里を襲った日、自らの命と引き換えに縛ったチャクラを介してオビトが実は生きていたことを知った。その時はなぜ火影を目指していたはずの彼が里に九尾を仕向けたのか理解出来なかったが、とにかく生きているのなら何としてでも救いたかった。
それは物心がつく前からともに育ち、いくつもの思い出を共有してきたオビトに対する情と言うのもあるし、写輪眼とともにオビトの意志を受け継いで以来、命を懸けてでも守ると誓ったリンを守るどころか自らの雷切によって死なせてしまったことに絶望し、まるで死に急ぐかのように自暴自棄な戦い方をするようになったカカシくんにもう一度生きる希望を与えられたらと思ったからだ。
あのころと全く同じと言うわけにはいかなくても、やっぱり二人には太陽に照らされた明るい世界で生きて欲しい。そして、その願いはなまえが叶えてくれた。それだけじゃなく、もう一度二人に会わせてくれたのだから十分すぎるくらいだ。おかげで心残りなくなまえの中へ還ることが出来る。
先ほどの四代目と同じように全身が淡い光をまとい出したところで、ふとカカシくんが私の名前を口にした。けれど、そこに続く言葉が上手くまとまらないのか再び口を噤み、終いには俯いてしまった彼に思わず笑みが零れる。口下手なのは相変わらずだ。

「今のカカシくん、暗部にいたころよりずっと良い顔してる。オビトも生きてる。それを自分の目で確かめることが出来たのだから、それで良い」
「……あのころ、後悔してばかりの俺に初めて自分の選択が正しかったのだと思わせてくれたのはお前だった。全てを失い、自棄になっていた俺をそれでも生かしてくれたのはお前だったんだ。だから──」

ありがとう、と目を弓なりに細めたカカシくんが途端ににじむ。もしほんの少しだけ心の内を打ち明けても良いのなら、本当は彼らのために命を懸けるのではなく彼らと生きたかった。

(君とともに……)

けれど、例えその望みが叶わなくても、やっぱり私は幸せ者だ。

「カカシくん、なまえのこと頼んだよ。どうか、あの子を人繋ぎの因果から解放してあげて」

prevnovel topnext