「あー、美味かったなーカレー」
「潔子さんと潔子さんのお友達である知里さんが作られたカレーですから!天使の味しかしませんでした!」
「それ今日のカレーをバカにしてますよネ」
「バカヤロウ月島!!お前は本ッ当に何も分かってねえなァ!!」
「俺なんて昇天したぞ!!」
「昇天しながらよく食えたな西谷」
「ッス!!!」

昇天してしまったということは意識を失ってしまったということであり、失う程‥いやそんなことはない、皆普通に食べてたから大丈夫!食器をガチャガチャと洗いながら、バレー部の皆の感想を盗み聞きしていると、隣で私が洗った食器を拭いている清水さんが溜息をついた。

「そ!そうか、清水さん練習試合のアレコレもしてたから疲れてるよね!あとやるよ!?」
「アレコレ‥?あ、違うの、疲れてるんじゃなくてまた変なこと言ってるなって呆れてるだけ。普段作らない量を手伝ってくれた知里さんの方が疲れてるでしょう?ありがとね」
「そんな!こと!‥あれ、またあの子達練習しに行くの‥?」
「うん。多分食後の運動?‥かな」

す、凄い。練習してご飯食べて、また練習するんだ‥!合宿みたい!あ、そういえば合宿だった。最後の1枚を洗い終えて時計を見ると、21時を過ぎていて驚いた。

「今から練習するの!?」
「ちょこっとだけだよ。ホラ、動いてないと落ち着かない人もいるし。特に日向と影山は」
「吐かないか心配だね‥」
「皆頑丈だから心配してない」
「頑丈‥」
「それより知里さん、もう片付け終わるから帰る準備してきていいよ。一緒に帰ろ」
「あっ、うん!」

要らぬ心配だったらしい。清水さんはいつものことだからとばかりに食器を片付けている。食堂を出て、鞄の置いてある部屋へと急いで向かっていると、肩にタオルをかけた東峰君と菅原君、澤村君がこちらへ歩いてきているのが見えた。あ、髪、解いてる‥。

「え、知里帰るの?」
「うん、もう片付け終わったから清水さんと」
「そうか。今日は助かった。ありがとな知里」
「トンデモナイ!3人共まだ練習するの?」
「体育館にいるのは1年生の2人だけで、あとは皆ストレッチとかするんじゃないかな」

あいつらのやる気はなあと云々とぽつりぽつり零す東峰君、そして澤村君と菅原君もどこか嬉しそうだった。

「知里は明日も来るの?」
「えっ!!?いや、聞いてない‥かな‥」
「明日も来てくれたら助かるよなあ、清水も」
「うッ‥」
「ゴールデンウィークなんだから無茶言うなよ〜。来てくれたら俺も嬉しいけど」
「ううッ‥‥」
「無理言っちゃ駄目だって2人共‥」
「「旭は来てほしくないワケか」」
「お、俺だって来てほしいよ‥!!」

なんで若干照れながら言うんだ東峰君。私も照れるじゃないか。そして行こうかな、に少し傾いている自分がいるのも否めない。人に必要とされている状況はやはり嬉しいのだ。

「あ、明日‥」
「なに?」
「朝ご飯って、何時‥?」
「「「‥‥」」」

なんかそれぞれのガッツポーズが見えるんだけど、3つ子か何かかな。

2017.01.12

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