透明傘 | ナノ
4



「雨、今日長ぇな。」

さっき止んだと思ったんだけど。
止んでは降ってを繰り返している空。


「おー、そういやそうだな。……俺はまたビショ濡れで帰るのか…。」


憂鬱そうな顔をした松本。面白すぎだろ。
けれど声を掛けずに無視をして、後ろの緑川を見る


「緑川、今日バイト?」

「あれ?俺の事無視?」

「いや、ねぇけど。」

「え、ちょ、緑川も無視?」

「買い物付き合って。」

「しょーがねぇな…付き合ってやろう。」

「ガン無視!!!」


ガン無視してもめげないんだからお前はすごいよ松本。

今日は食材調達しなきゃだから、スーパーと帰る方向が同じの緑川を誘う


緑川は中学も同じだからそこそこの腐れ縁
俺の家の事情もよく知ってるから、何も言わずに俺の頼み聞いてくれるから楽だ


「今日はガリガリくんだな。」

「……うん。」


その分の報酬を貰っていくが。
まあお互い暇だから、暇なとき誘ってどっかに行ったりすることは多々あるんだけど。


「いいなぁ、俺今日部活だわくっそ…!」


ダン!と松本が机を叩く
そこまで項垂れなくてもよくね?


「スーパーだぞ。」

「俺は放課後楽しめればそれでいい」

「あぁ、そう」


キリッとした松本の顔は心底うざい


「なあなあ今度緑川ん家で遊ぼーぜー」

「なんで俺ん家。」

「ゲームいっぱいあるじゃん」

「加賀まで…。」


一人だけ仲間はずれにされた松本は次の遊びを計画
俺もその話に賛成。
緑川も普通に承諾してくれた。


…ゲームか。
湊さんの家きてからずっとやってない。


俺の持ってるゲーム達は俺の家で埃でも被ってんじゃないのかな。



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bkm