透明傘 | ナノ
13

ちきしょう
俺がどんなに悩んで服選びをしても、素材負けをしている

これは仕方のないことなんだ!


「なに不貞腐れてんだよ。」

「素材のいい奴にはわかんねーよ。」

「はあ?」


運転しながらも俺に気をかけてくる湊さん

湊さん足なげえし細いしむかつく

細身のパンツに某ブランドのお洒落スニーカー
そんでゆるめのシルエットシャツを羽織ってる湊さんはいったいどこのモデル?って感じ。若い。

イケメンでお洒落って……

こんな奴と俺が釣り合うわけない。

いや釣り合うって考え方おかしくね?何に対して釣り合う?え?
彼女じゃあるまいしなに考えて……あああ

ゴンッと頭を窓ガラスにぶつけて正気を保つ


「お前さっきから大丈夫か」

「…なんとか。」


いや、大分アウトかもしんない…。


格好よく運転してる湊さんをさりげなくガン見しといた。









「ずいぶん広いね。」

「最近出来たらしいぞ。」

「ふーん。」


通りで人がうじゃうじゃいるわけだ。
日曜日だからか。それもあるな。

連れていかれたのはめちゃめちゃ広いショッピングモール
店もたくさんあって、迷子にならないか心配


「迷子になんじゃねーぞ。」


湊さんの大きな手が俺の頭を撫でる


「うわ、せっかく整えたのに!」

「餓鬼の癖に色気付いてんじゃねーよ。」


うっせえわ


「どこから見んの?」


湊さんを見上げる

この、見上げなきゃいけない感じな。

いや、俺はちっちゃいわけじゃない。こいつがでかいんだ。
俺は168cmでこいつは184?5?…っつってたか前。高すぎない?
その余計な身長俺に寄越せって感じ。


「特に決めてねーけど。ぶらぶらしてる。」

「ふーん…あ。」


歩いていたら調理器具が売ってる店を発見
…まあ、もちろん女性しかいない。
入りづらいっていうか…うん。


「寄ってく?」


けれども俺の反応を見て即座に足をそちらに向ける湊さん

え、寄ってくれるのか。
ちょっと嬉しい。


「何欲しいの?」


カゴを手に取る湊さん
・・・うわ、男前だ。

「買ってくれるの?」と聞くと「当たり前だろ」、と笑う湊さん

こういうとき、年の差を感じるんだよな。
なんかちょっとかっこいいとおもっちゃったじゃないか。


「あー、ボウルとヘラと…。」


やばい、欲しいものがたくさん出てくんだけど…

なるべく安いものを選ぼうと思ってジィ、と真剣に見る
そんとき、湊さんが何かカゴに入れた

ん…?


ふと見てみると、エプロン


「んなっ…!」


しかもピンクの花柄って嫌がらせにしか見えない。

「い、いらねぇよバカ!」

「新しいの買っとけって。」


取り上げようとする俺を避けてニヤニヤしてる湊さん
絶対楽しんでるよこの人…!


数分後、結局俺は負けてそのエプロンを買う羽目に。


「せっかく買ったんだから着ろよ。」


レジでそんな事言われた
……着たくねぇ…。

しょっぱなからかなり体力を消耗した




prev mokuji next
bkm