透明傘 | ナノ
12



「おはよう。」

「…………おは……よ。」


朝、目が覚めたらなんか幸せそうな微笑みを浮かべた湊さんがすぐ目の前にいた


……休みの日に俺より先に起きるとは……。
まじかよ…。


「眠い?」

「…普通…。」


大きな手が俺の頬を撫でる
きっとまだ、六時半くらい。


「何してたの、湊さん。」


体を起こし目を擦りながら聞く
俺の顔見てた訳じゃねーだろうな…。

以前の布団事件以来ちょっと妖しい。



「寝顔見てた。」


ドンピシャかよ。


正直に答えるこの人もこの人だ。
変態発言堂々としてんじゃねーか。


「見んなよ…何が楽しいんだよ…。」

「そんな目で見んじゃねーよ。」

「もう変態でいいよ。」


まじ勘弁してくれ、と呟きながら布団から出る
ふと窓を見てみたらカーテンが引かれててもわかる眩しさ。

おお、今日は天気がいい。


「今日はどこ行くの?」


買い物つってたよな。
出掛けるという事がわかってるため、その場でスウェットを脱いで着替える

筋肉も何もついてないヒョロヒョロの身体が冷たい空気に晒された

腕を擦りながらクローゼットを漁る
湊さんと買い物って事は通常よりお洒落で行かなければいけない。

通常の7倍は視線がいたいから。


「…ねえ?」


なかなか返事をくれない湊さんを不思議に思って振り返る


……どこ見てんの、この人


「……ちょっと遠出する予定。」


窓を見つめながら答える湊さん
…窓になんかあんのか?


「ふーん。」

軽く相づちを打って、再び服選びに戻る


「朝っぱらからこれかよ」

「何が。」


なんでもねーよ、と盛大なため息をつきながら、リビングに消えた湊さん

なんかしたっけ。




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bkm