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とりあえず今日の分の説明会が終わった。
昨日は結構疲れていたんだけど、今日は侑くんパワーのお陰かまだ元気。
おかげで俺は興奮しすぎてずっとしゃべり続けていた。
「ねえやばくない侑くんが生徒会に入るって考えてくれるなんて何があったんだろう何がきっかけで入ってくれるなんて思ったんだろうすごいよね奇跡だよねすごい嫌がってたのになんでだろう本当にうれしいよ放課後一緒に居られるなんて毎日あ、土日以外毎日一緒にいられるってやばくない」
「うるせえ」
千歳に呆気なく切り捨てられた。
今日も入部希望の人たちの選別を行っていて、正直俺は退屈。
だからこの興奮が冷められないんだよ!!!!
「なんかさぁ、本当涼って弟の事になると気持ち悪くなるよねぇ…なんなのぉ」
そんな顔されちゃうほど俺って気持ち悪いんだろうか…。
他人がどう思おうが変われる気はしないんだけど。
「でも侑介が生徒会に入れるって決まったわけじゃないんだから」
舞い上がる俺に、真澄が冷静にそう告げた。
真澄の手元には大量の希望書。今日は50枚ぐらいある。
真澄の一言にムッとなる俺
「侑くん頭もいいし、俺の弟なんだから家柄だって問題ないだろ」
「涼は学年2位だけど、侑介はたかが10位以内だろ。ほかにも優秀な子がいるかもしれない」
はあー?
なにその態度。なんでそんな冷たいのこいつ。
しかもたかがってなんだよ、充分優秀だろ。
「小鳥遊は?」
「あれはああ見えてだいたい5位以内キープ」
「まじで」
ゆ、優秀なんだな…。
まあ侑くんとずっと同じクラスってことは優秀なんだろう。
「紫乃さーん、今のところどうなんです?侑くんの総合順位って何位ですか?」
「侑介くんは8位だよ。昨日の升谷くんは7位で、円藤くんが10位。あと、小鳥遊くんは4位」
うわー!侑くん8位なの!優秀なんだなあ、本当に自慢の弟。
小鳥遊が思いのほか優秀なのむかつくけど。
ってことは、今のところ有力候補上から言ったら、小鳥遊・升谷・侑くん・円藤か…。
んんー。
ここから他に優秀生徒出てこないことを願うんだけど。
いや、むしろ侑くん以外認めないから。
「てかさぁ、涼が学年2位ってのめっちゃウケるよねぇ!こう見えて秀才なのすごすぎぃ」
「侑介が絡まなければ割とマシな頭してますよ、涼は」
「急に俺をディスってくるのやめろよ」
こう見えてってなんだよ。
一応勉強面は、まあなんとかなってる。運動面がクソな分、偏りが激しい。
侑くんのお兄ちゃんだからいつでも勉強教えられるような頭じゃないとダメだからね!そのことがあるのかもしれませんね!
「運動面は本当面白いことになってるけどな」
千歳が鼻で笑った。
う、うぜー!!!サッカーで転んだこと思い出してるだろ今!!
「運動面に関してはそこまで必要と思ってないからだ、で、ですし!」
大学にいったら関係ねーし!
他の人たちの前でタメ口だとまた千歳に怒られるから、一応敬語を使いながら千歳に訴えた
むしろ運動ができるやつと出来ない奴の差ってなに?
運動できる奴は何をどうやって身体を操ってる訳?
「そんなこと言ってるから怪我するんだよ。今回は軽い捻挫で良かったけど、いつか骨折なんかしたら・・・」
でた。真澄ママ。
「なに?筋トレでもすればいいわけ?君たちはどうやってサッカーをしてるの?足の動かし方は?そもそも視点はどこに置いておくの?」
「そういう事考えるからできねーんだよ」
「じゃあ、ちと・・・、か、会長はどうやってるんですか!走る事すらままならない俺はどうしろと!!」
むしろ動いてる時他に何を考えるの?
蹴る角度とか考えないの?
そもそもボールが思ってもない方向に飛んでいくのはどうすれば!
「・・・。」
千歳が黙った。走りも出来ない俺を同情してるのか。やめろその目。
しかも千歳だけじゃなくて他のメンバーも黙ってる当たり、何も考えてないで運動が出来るタイプだ。なんなの?なんで皆そうなの?俺だけ仲間外れ?
「・・・来週の全校生徒でやるオリエンテーション、心配だね」
シーンとした空気の中、紫乃さんが不安そうな声で俺に呟いた。
そう。オリエンテーション。
ほぼ鬼ごっこみたいなもんのやつだが、走れない俺にとっては不安材料でしかない。
「そうなんですよね・・・。俺出なくていいですかね・・・」
「全校生徒を5チームにわけてやるゲームだから、そうもいかないんだよね」
真澄が苦笑した。5チームにわける理由は生徒会役員5人がチームのリーダーとなって指揮をとるから。いや、本当、なんでこんな分け方してんの。
「俺は楽しみだけどなぁ〜、鬼ごっこ」
うふふ、と楽しそうに有岡さんが笑った。怖い。この人とことんやりまくるもんなそういうイベント。あとチームをまとめるのうまそう。
明らかに千歳と真澄もうまくチームを引っ張っていけるだろうし、紫乃さんだってやるときはやる人だ。普段のほほんとしてるけど。
絶対俺のチームになった子達絶望するでしょ・・・。
リーダーがこんなんじゃ。
「どうやって5チームにわけるんですか?」
「ランダム」
ランダムか…。
え、んじゃあこっそり自分の好きな子をチームに入れてもばれない?
「ねえ、あのさ、」
「誰かを選抜するとかそういう制度は持ち合わせてないよ」
「・・・。」
読まれてた。
真澄に完全に俺の考えばれてた。
侑くんと一緒のチームになれるなら、楽しみなんだけどなあ。むしろ侑くんがいないんなら全くやる気がでない。勝手にやってろって感じになりそう。
あとは運に任せるしかないか・・・
でも侑くんが敵になったら俺侑くんのチーム攻められる気がしないだけど。
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bkm