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新アイテム


形状記憶カメレオンのレオン。それは生徒が成長すると羽化するリボーンの相棒だ。どういうわけか生徒に試練が訪れるのを予知すると繭になるらしい。そして生徒が成長し羽化するとレオンは武器を吐き出すのだ。ディーノに鞭とエンツィオを与えたように。


「ニューアイテムを吐き出すぞ。俺の生徒であるお前専用のな」


ツナは僅かばかりに期待を抱いた。もしディーノと同じようにエンツィオみたいな強い動物が出ればなんとかしてくれるかもと思って。


「いつまでも君達の遊びに付き合っていられません。小休止はこれくらいにして仕上げです」
「来るぞ」
「では目障りな……こちらから」


犬は羽化しかけているレオンを真っ二つに剣で斬った。


「「レ…レオン!」」


折角の希望が潰えてしまった、とツナと舞は声を上げる。だがリボーンは心配はないと言った。レオンは形状記憶カメレオンであるゆえに斬られても平気なのだ。


「それよりも上に何か弾かれたぞ」


皆が一斉に上を見上げる。そこには2つの影があった。どうやら無事なようだ。


「あれがニューアイテムだ」
「あれが…」


すると、ポスン。ツナの顔にそれは柔らかく降りかかった。でもそれを見てツナは驚愕する。だってそれは武器には全く見えないーー


「毛糸の手袋〜〜!!?」


だったのだから。


「こんなんでどーやって戦うんだよ!?エンツィオとか武器出るんじゃないのかよ!?手の血行良くしてどーすんだよ!!」
「…あは。手袋って、」


ツナが慌てふためく中、舞も思わず苦笑してしまった。手袋とは予想外も良いところ。一体これはどのように活用するのだろうか。でもリボーンに付けとけと言われ疑いながらもツナは手袋をはめた。


「最後まで面白かったですよ。君達は」


犬はビュンと三叉槍を振りツナに向かって行った。ツナは怖さから「ひいっ」と声を漏らし咄嗟に手を前に構えるが剣先が刺さる。だが手袋が攻撃弾いたのだ。


「た…助かった〜。…….ん?中に何か詰まってるぞ」


手袋を一度脱ぎ中に詰まっている物を取り出せば、コロンと出てきたのは特殊弾であった。特殊弾だとわかると骸もリボーンも目の色を変えた。


「そいつだな…。寄越せツナ」
「えっ」
「撃たせるわけにはいきませんよ」


リボーンがツナから弾を受け取る為に近づこうとする。が、簡単に骸がそれを許してくれる筈もなく犬とビアンキの2人がかりで襲いかかった。それでもリボーンは身軽にその攻撃を避け、ツナの手から一瞬で取り「ゲット」と弾を手中に納めた。


「見たことねー弾だな。ぶっつけで試すしかねーな」
「えーー!?ぶっ、ぶっつけー!?」


正体のわからないその弾にツナは叫ぶと、骸は「させませんよ」と獄寺の姿で幾つものダイナマイトを手に握った。本能的に何かを汲み取ったのだ。その弾をツナに当ててはいけないということを。


「待って!」


そんな獄寺の前に舞はツナを庇うようにして佇む。その表情は唇をキュっと固く結び何かに耐えているようなものであった。


「ツナ君にこれ以上その姿で手は出させない」


だってその手は、武器はツナを傷つけるものなんかじゃない。ツナを守るために奮う力。それを何も知らない他人が勝手に操って良いはずがない。もし獄寺が今のこの状況を知ったらどう思うだろう。きっとくすんでしまう。あの真っ直ぐで純粋にボスを守りたいと思う獄寺の笑顔が。それは絶対に嫌だ。舞はギュッと目を瞑り、祈るように相手に届くように叫んだ。


「獄寺っ!ツナ君を守るんでしょ!!だったら憑依なんてされてないで早く目ぇ覚ませっ!!!」


腹の底から声を上げると舞は、力が抜けたようにガクっと膝をついた。そして、それは骸に憑依されている獄寺もであった。


「グっ。……何故だ、」


骸も意味がわからなかった。獄寺に憑依していた精神がいきなり跳ね除けられたその理由が。しかし今は深く考えている時間もない。獄寺の体が駄目だとしてもまだ操れる人物は他にもいる。


「次こそは逃しませんよ」


獄寺が落としたダイナマイトを今度は千種が握った。


「…ハァ、ハァ。やめ、て」
「そんな!!うわあああ!!」


ツナに大量のダイナマイトが襲いかかった。リボーンはカシャんとツナから貰った弾を銃に入れる。


「間に合うものか」


大きな爆発音が鳴り響く。ダイナマイトがツナに直撃してしまったのだ。


「そ、そんな…ツナ君っ」
「ボムをまとも食らいましたね」
「おやおやこれは重症だ」


舞は荒い呼吸を繰り返しながら、サーッと血の気が引いた。爆風が晴れ、視線に写るのは黒焦げになって横たわるツナの姿。もう悲しみを通り越して放心状態に陥ってしまう。


「万事休すーー…あっけない幕切れでした。さあ、虫の息のその体を引き取りましょう」


そんな無機質な声は耳には入らず、舞はただ動かないツナを見つめるだけであった。



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