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- ナノ -



「吐けよコラ!!」
「居場所教えてくんねーか」
「ボスの場所教えないっていうなら、貴方達の体…バラバラにしてあげよっか?」


ツナを連れ去ったのは桃巨会ではなく、ディーノがツナのファミリーである獄寺達を信頼できるかどうかの試練としてしたことであった。ディーノは桃巨会など架空のヤクザだと思っていたが、本当は実在するもので獄寺達が危ないと慌てて桃巨会へ来たツナ達。だが、見るも無惨な光景となっていたのは桃巨会の人達であった。


「(ヤクザ倒してるー!!)」
「な!」
「あれ…ツナ君…?」


ツナを助けに来た筈なのにディーノと一緒に立ち尽くして唖然としているツナの姿に舞は不思議そうに目をキョトンとさせた。


「10代目ご無事で!!」
「元気そーじゃねーか!!」


互いが互いの無事に安心をしていると、新たに強そうな刺客が何人も入って来た。ディーノが全員の治療費と備品の修理費は払うから手を打ってくれと交渉するが桃巨会は聞く耳を持たなかった。


「金は頂く。そして、てめーらは帰さねぇ!そこの嬢ちゃんもたっぷりと可愛がってやるよ」


舞を舐めいるように向けるいやらしい視線に舞はぶるりと鳥肌を立てた。


「気持ち悪い視線でこっち見ないでくれるっ?バーカ!」
「んな!ふざけやがって!」
「交渉決裂か。舞に指一本触れさせねーし。力ずくで帰るしかねーよな」


いくぜっ、と意気込んで振るったディーノの鞭はベチッバチッと獄寺、山本、そして自分自身に当たった。その様子に舞は呆れて声も出ない。ドジもここまで来ると如何のものであろうか。


「ヒャハハハハ。何だ今のは!!」
「アホだ!自爆しやがった!!」
「こいつら口を聞けなくしてやれ!!」


一斉に敵が武器を片手に持ち攻めてくる。もうダメだ、とツナが泣き叫ぶ。するとズガン、とツナに死ぬ気弾が打ち込まれ更に追加でゲンコツ弾まで打たれた。


「復活!!死ぬ気でヤクザを倒ーーす!!」


ツナの手は巨大化し次々とヤクザを吹っ飛ばす。しかしその背後にツナに殴りかかろうとするヤクザが1人いた。


「危ねぇ!」


ディーノの叫び声が聞こえた直後、ドガァンと大爆発が起こった。


「大丈夫スか10代目!」
「後ろは俺達に任せろ!」
「後ろを狙うなんてせこすぎっ!」


ツナの背後は獄寺達が守った。あいつら…とディーノが驚いているとディーノの部下達がやって来た。そのおかげでいつもの調子が出てきたディーノとツナ達が暴れまくり桃巨会は壊滅していったのであった。



▽ ▲ ▽



「いやー。感心感心。お前らにならツナを任せられるぜ」


ツナの家に戻り、ディーノはツナのファミリーの桃巨会での活躍ぶりに安心し満足そうな笑みを浮かべていた。ツナ達と話している間もディーノは自分の膝の上にちょこんと舞を座らせ細い腹周りに手を回している。



「いや、まかせるとか…そんな…っ」


否定をするツナであったがディーノは聞く耳を持たないのか、ハハっと笑いながら立ち上がり「じゃー俺、部下と買い物してくら」と言い捨てた。その言葉を聞くと舞は首を後ろに回してディーノの顔を覗き込み笑顔を見せた。


「また遊びに来てね!」
「ああ。また近い内に来るぜ。舞も良い子でいろよ」
「もう!あたしそんなに子供じゃありませんーっ」


子供扱いされて不機嫌そうに頬を膨らます舞を見るとディーノは頬を緩ませた。昔から変わらない笑顔を自分に向ける彼女。舞という存在が自分の腕の中にいると考えるだけで愛おしくてたまらない。これが家族愛なのか恋愛的感情なのかは本人でさえ曖昧だ。ただ一つだけ言えることは彼女が大切な存在だということ。ディーノはそんな募らせた想いを伝えるように、振り向いている彼女の頬にキスを落とすのだった。


「へ?」
「なっ!」
「えええ!!」


舞は間抜けな声を漏らし、中学生の純情な男子達は見慣れない光景に戸惑いながら顔を赤く染めた。舞は、頬を押させながらキョトンとした表情でディーノの瞳をじっと見つめるとディーノはクスっと笑い、舞の頭を撫でた。そして、「じゃーな」と言って膝から舞を下ろし、部屋から出て行ったのであった。なんとなく残された4人の空気が重い。そんな空気を断ち切るべくツナが、獄寺に話しかけた。


「ご、獄寺君…ディーノさん嫌いだからもっとつっかかると思ったよ」
「…っああ。あいつ口ばかりでてんでヘナチョコでしょ?相手にしないことにしたんス」
「いや…ディーノさんはヘナチョコじゃあ…」


ない、と言い切ろうとしたツナであったがディーノが階段から落ちた叫び声がしたので言葉の続きは言えなかった。そんなおっちょこちょいなディーノに、先程彼にドキっとさせられた舞はクスリと笑みを零すのであった。


「(バーカ。最後まで頑張ってよ)」


一瞬でもかっこいいと胸を弾ませたあたしが馬鹿みたいではないか。でもそれがディーノという人物。飾らないありのままの自分を晒し出せる彼。そんな彼だからこそ舞は幼い頃から慕ってきのだ。人は自分と違う存在に惹かれるもの。ツナと同じように包み込むようなその優しさは人を惹きつけ、空気を澄ませる。それが例え、日が沈んだ暗闇であっても。



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