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時間は流れ外では星が輝き、机の上に並べられる奈々の料理の美味しそうな香りが鼻腔を擽る。ツナ達は皆で机を囲み夕食を食べ始めていた。


「さーなんでも聞いてくれ。可愛い弟分よ」
「え…!あの…」


ディーノに気に入られるのは嬉しいがマフィアになるのは絶対にごめんだな。そんなことを思いツナは口籠っていた。


「そーいやツナ。お前はファミリーはできたのか?」
「今んとこ、舞と獄寺と山本。あと候補がヒバリと笹川了平と…」
「友達と先輩だから!!」


やっぱり雲雀先輩までファミリー候補に入っていたんだ。それは難しいのではないかな…と舞は食べ物をもぐもぐとさせながら顔を引きつらせた。


「っていうかリボーン。なんで俺なんかのとこ来たんだよ。ディーノさんとの方が上手くやってけそうなのに」
「ボンゴレは俺達同盟ファミリーの中心なんだぜ。何にしても俺達のどのファミリーより優先されるんだ」
「えええ!!ボンゴレファミリーってそんなに偉いの〜〜!?」


まさかの事実にツナはブルーだと顔を青くさせながら固まった。


「ねぇ、ディーノ。零しすぎだよ」
「うわっ」


クスクスと笑う舞に気づき、ツナがディーノを見ると机の上は色々と荒れていた。ご飯粒やお味噌汁など何をどうしたらこうなるのかと呆れるくらいの汚しっぷりだ。


「ディーノは部下がいねーと半人前だからな」
「はぁ!?」


ディーノはファミリーのためやファミリーの前ではないと力が発揮できないタイプで部下がいないと運動能力が極端に下がるというある意味究極のボス体質の持ち主であった。


「またリボーンはそーゆーことを…ツナが信じるだろ?普段、フォークとナイフだから箸が上手く使えねぇだけだよ」
「な…なんだ。そーですよね!!」
「(やっぱりディーノ…昔のままなんだ)」


ディーノの返答にツナはホッと安心し表情を緩ませた。やっぱりリボーンの冗談だと理解したが舞は意味深な笑みを深くするのであった。


「キャアアア!!!」


突如、お風呂場から奈々の悲鳴が響きわたった。何事だ、と皆が一斉に立ち上がり駆けつけようとする。だが立ち上がった瞬間…ディーノは、どだーんと床に倒れた。


「!?……だっ大丈夫ですか?」
「自分で自分の足を踏んじまった…」
「は?」
「やっぱり部下がいないとダメなんだねっ」
「ほれみろ。運動音痴じゃねーか」


ま…まさか…とツナは先程の言葉が冗談ではなかったことにショックを受けた。風呂場から泣き叫ぶ奈々がお風呂に異常な出来事が起こっていると説明する。慌てて風呂場へ行くとディーノのペットであるエンツィオが先程よりの大きさで風呂桶をかじっていた。


「あ…ありえないって…」
「あちゃー。エンツィオの奴、いつのまに逃げたんだ?」
「うわわっ。桶、食べちゃってるよ」
「えーーっ。あれ、さっきの亀なのー!?」


エンツィオは普通の亀とは違い水を吸うとふやけて膨張するスポンジスッポンである。巨大化したエンツィオは狂暴化して家一軒を食べてしまうほど危険な動物であった。 このままでは家がなくなってしまう。ツナは泣きながら発狂するがそんなツナを宥めようとしたのは舞であった。


「あたしがエンツィオを止めるよ」
「…!舞ちゃん!」


自前であるヌンチャクを両手で構えエンツィオに突っ込もうとするがそれはディーノに肩を掴まれ止めらてしまった。


「舞」
「ディーノ…?」
「下がってろ。だれも手を出すんじゃねーぞ。てめーのペットの世話もできねーよーじゃあキャッバローネファミリー10代目の名折れだ。静まれエンツィオ!!」


鞭を出し、先程と同じように大きく弧を描くように振り回す。だがその鞭はエンツィオではなくツナの後頭部にヒットしてしまった。ツナは涙目になりながらヒットした部分を押さえた。


「いででででで!」
「大丈夫っ!?」
「スマン!すっぽ抜けたっ」
「(うそぉー!!)」
「これでわかっただろ?部下がいないと半人前なんだ」
「(あの華麗なディーノさんが…!!)」


ツナがショックを受けている間もエンツィオは風呂場の侵食を進めていく。このままでは、風呂場がなくなってしまうだろう。


「ひいいいっ。風呂場が〜〜!!!」
「やめねぇかエンツィオ!!」


今度こそはとディーノが振るった鞭はまたしてもエンツィオに当たることはなく、ツナとランボそしてイーピンに当たった。舞は泣きわめくランボ達に駆け寄り心配の声をかける。


「大丈夫!?ランボ君とイーピンちゃん!痛かったよね。ごめんね」
「スマン!大丈夫か!?」


本当にこれでは風呂場どころか家までも壊されてしまうかもしれない。ツナはひそひそとリボーンに助けを求めた。そこで助けてくれたのはリボーンのペットであるレオン。レオンはツナの顔に飛びつき形状変化させディーノの部下であるロマーリオのマスクに姿を変えた。


「ロマーリオじゃないか!皆と帰ったんじゃなかったのか!?」
「え?あれ?」
「バカヤローー!!俺に任せて下がってろ!!」


部下がいるおかげでいつもの運動能力が蘇ったディーノは華麗な鞭さばきでエンツィオを捕らえ、家はなんとか崩壊せずに済んだのであった。



▽ ▲ ▽



エンツィオの事件も解決し、時はもう消灯の時間。ツナの家のある一室にディーノと舞は布団を並べ横になって体を休ませていた。


「はー。エンツィオの奴、ほんと困った奴だぜ」
「エンツィオはディーノのペットなんだからディーノが面倒見なきゃ!」
「ま、そーだな。あんな奴でも俺の可愛い相棒だ」
「それにディーノ。部下がいないとダメな所も昔から全然変わらない」


まぁ、それがディーノなんだけどねっ。舞は呟きながら寝がりをし背中をディーノに向けた。それを横目で見ていたディーノは少し、切なげの表情を舞の背中に向けた。


「舞」
「んー?」
「…ここで、楽しくやれてるか?」
「何言ってんの…楽しいに決まってるんじゃん。ツナ君だって、友達だっているし」


その言葉を聞いたディーノは安心したように表情を緩ませた。そして、ゆっくりと瞳を閉じた。


「そうか。それなら良かった」
「…心配してたの?あたしなら大丈夫に決まってるじゃん」
「ハハ。悪ぃな」
「そろそろ寝ないとだよ。明日も忙しいでしょ?」
「だな。おやすみ舞」
「おやすみなさい」


暫くするとディーノの安らかな寝息が聞こえて来た。きっと慣れない日本で疲れていたのだろう。だが、舞は眠れないでいた。背中を向けていてディーノには見えなかったが舞は悲しげに瞳を伏せ、泣くのを我慢するかのように顔を歪ませていたのだ。声だけはなんとか通常通りと装って。


「(…大丈夫。泣くな。あたしは大丈夫だから)」


ここで泣いていると気づかれるわけにはいかない。必死に自分は“大丈夫”だと言い聞かせる。舞は気持ちを押し殺すように唇を噛み締めた。だが、ポロポロと溢れる涙は止めることができなかった。



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