跳ね馬ディーノ
木の葉もほとんど色付き終わり、移り行く季節を感じるこの頃。時間は放課後。舞とツナは2人してのんびりと帰り道を歩いていた。
「今日も学校終わったね!」
「うん。家帰ったら何しよっかな〜〜。………!何これ〜〜!!?」
ツナが驚くのも当然だ。ツナの家の前を見ると何故か黒服を着た男性が多勢立っていたのだ。ツナは恐る恐る1人の男性に問う。
「あの…すいません。通っていいですか?」
「ダメだ。今は沢田家の人間しか通せないんだ…」
「えっ。………沢田綱吉ですけど…」
すると男達は驚いたようにざわつきだす。そんな中、舞は強面の男達に反するように笑顔で近づいた。
「皆久しぶりっ」
「あ、貴方は舞嬢じゃないですか!お久しぶりです」
「うん。貴方達がいるってことは…来てるの!?」
嬉しそうにキラキラとした笑顔を浮かべる舞にツナは話が理解できず不思議そうに首を傾げるのであった。
▽ ▲ ▽
ツナはこれはまたリボーンの仕業だと思い急いで2階に駆け込んだ。部屋の中にも黒服の男達が数人おり、そこにはリボーンの姿もあった。
「待ってたぞ。ツナ」
「いったいこれはなんなんだよ」
「いよぉ。ボンゴレの大将」
「!?」
ツナに声をかけてきたのは椅子に腰をかけているツナの見知らぬ人。思わずその綺麗な顔立ちに息を呑んだ。ブロンドヘアーで瞳の色も同じ。ぱっちりな二重に凛々しい眉、スッと通った高い鼻で誰が見てもかっこいいと思われるような人であった。
「はるばる遊びに来てやったぜ。俺はキャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノだ」
「な!?」
ファミリーのボスと聞いてツナは顔を青くする。またマフィア関係の人なんて冗談じゃない、という表情だ。そこに弾丸のような速さで部屋に入ってくる少女がいた。
「ディーノ!!!」
「お、舞じゃねぇか!!」
「会いたかったよ!!」
「えっ!!?」
舞は勢いよくディーノに抱き着き、突進されたディーノも舞を受け止め腰に手を回した。そして優しい手つきで舞の頭を撫でる。その瞳はまるで愛しい子をみつめるような甘いものであった。そんな2人の熱い抱擁を見ていたツナはほんのりと顔を赤く染めた。
「俺も会いたかったぜ」
「来るんだったら連絡くれればいいのに」
「悪いな。今回はボンゴレ10代目の視察のためにやってきたんだ」
ディーノは舞はクルリと反転させると自分の膝の上に彼女を座らせた。それでも腹に手を回しギュッと抱きしめたままだ。まるで彼女が自分のものであると誇示するように。されるがままの舞も久しぶりの再会に嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「こりゃあダメだな!」
ディーノは視線を舞からツナへと移すと吹き出すように笑い声をあげた。ツナは何を笑っているのかわからず唖然とする。
「オーラがねぇ。面がまえが悪い。覇気もねぇし、期待感もねぇ。幸も薄そーだ」
「足が短けぇ」
「ボスとしての資質ゼロだ」
「(初対面でいきなりダメだしー!!?)」
初対面であるにもかかわらずボロクソに言うディーノの言葉に黒服の男達は大笑いしツナは恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
「コラ、ディーノ。あんまりウチのボスいじめないで!」
「…!、わ、悪りぃって。そんなつもりじゃねーから怒んなよな」
ディーノを見上げながら軽く眉をひそめ頬を膨らます舞であったがディーノの位置からでは上目遣いにしか見えず思わず胸を高鳴らせた。
「おいリボーン!なんなんだよ。このヤバイ連中は!」
「ん。ディーノはお前の兄弟子だぞ」
「そうだよ!ツナ君と同じなんだ!」
「は?」
理解不明な発言の数々にツナは思わず素っ頓狂な声が出た。どーいう意味…!?と混乱するツナに舞はクスクスと笑い声を零した。
「悪りーことばかり言ったが気を悪くすんなよ。ボンゴレ10代目。俺もリボーンに会うまでボスの資質なんてこれっぽっちもなかったんだ」
「え?リボーンに会うまで?……て、まさか…?」
ツナの予想通り、リボーンは以前ディーノをマフィアのボスにするべく教育をしていた。そして教え子のディーノは今、5千のファミリーを持つ一家の主としてまで成長をしたのだ。
「本当はリボーンにもっと色んな事を教わりたかったがお前の所に行くっつうんで泣く泣く送ったんだぜ」
「(リボーンの元教え子なんて…またスンゲーヤバイ人来ちゃったんじゃないの…?)」
「そうそう。ディーノなんて、リボーンがいなくなってから暫く落ち込んでたんだから」
「な!、変な事吹き込むなよな!」
「だって本当の事をだもん」
お互い気づかい無しに楽しそうに言い合う2人。一体、舞ちゃんとはどういう関係なんだろう。2人の姿を見ながらツナは首を傾げたが、今は目の前にいるディーノに言わなければならないことがあるとゆっくりと口を開いた。
「あの…さっきから誤解してるみたいですけど、ぼくはマフィアのボスになる気なんてサラサラないんです」
もしかして怒鳴られるだろうか。ツナがビクビクとしているとディーノからは何故か笑い声が聞こえてきた。
「ハハハ。リボーンの言う通りだ!こいつ昔の俺にそっくりだな!」
「え"!?」
「俺も最初はマフィアのボスなんてクソ喰らえと思ったもんだ…ハナからマフィアを目指す奴にロクな奴はいねー…お前は信用できる男だ」
「え!いや…でも僕は…!」
気に入って貰えるのは嬉しいが信用されても困る。ツナは必死に否定をするが、ディーノはいきなり顔色を変え懐に手を忍ばせた。
「一生やらねーっつーんなら」
「ひっ」
「噛むぞ」
「うわぁ〜!!」
「エンツィオ久しぶりだね〜!」
拳銃を出されると身構えたツナであったがディーノが出したのは亀であり、予想外の出来事に新喜劇のように後ろへ思い切り倒れた。ディーノが出した亀の名はエンツィオと言い、リボーンにレオンの代わりで貰ったと言う。
「ガハハハハ。枝付きブロッコリーだぞ〜!」
「またあいつら…!」
笑い声と共に新たにツナの部屋へ入って来たのはランボとつい最近に並盛へやって来た、イーピンだ。ランボは手榴弾を持ちながら走っており、危ないからとツナが注意をする。するとランボはつまづいて転んでしまった。その勢いで手榴弾の栓は抜かれ本体は窓の向こうに。
「やべーな。外にはディーノの部下がいるぞ」
「あっ。そーいえば」
「(ディーノがいるから大丈夫だな…)」
ツナが焦る中、いち早く飛び出したのは舞が信頼をしていたディーノ。彼は窓から飛び降り自分の武器である鞭を大きく振り払い全ての手榴弾を空で爆発させた。勿論、部下に怪我などは一切させずにだ。
「またボスのやんちゃだな!」
「1日1回はドッキリさせやがる」
「今のはちげーよ」
危ないことがあったにもかかわらずファミリー内の空気は軽い。きっとこれはボスと部下の信頼関係から作られる特別なものだろう。そんなディーノ達をツナは自室から憧憬の眼差しで眺めていた。
「………あの人カッコいい…」
「ふふっ。ちゃんとボスだからね」
「わかったか?ファミリーのために命をはるのがマフィアのボスだ」
「なんでもかんでもそこに結びつけんなよ!!」
それからリボーンが誘いディーノはツナの家に泊まることとなった。何故か舞も一緒にと誘われ彼女も泊まることに。
「よっしゃ。んじゃーボンゴレに説教でもたれるか」
「お…俺のためにーー。そ…そんなぁ〜っ」
「よなったな。ツナ」
すっかりツナの中でディーノは憧れの対象だ。そんな人物が自分のために話をしてくれる。嬉しくない筈が無い…とツナは顔を赤らめるのであった。
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木の葉もほとんど色付き終わり、移り行く季節を感じるこの頃。時間は放課後。舞とツナは2人してのんびりと帰り道を歩いていた。
「今日も学校終わったね!」
「うん。家帰ったら何しよっかな〜〜。………!何これ〜〜!!?」
ツナが驚くのも当然だ。ツナの家の前を見ると何故か黒服を着た男性が多勢立っていたのだ。ツナは恐る恐る1人の男性に問う。
「あの…すいません。通っていいですか?」
「ダメだ。今は沢田家の人間しか通せないんだ…」
「えっ。………沢田綱吉ですけど…」
すると男達は驚いたようにざわつきだす。そんな中、舞は強面の男達に反するように笑顔で近づいた。
「皆久しぶりっ」
「あ、貴方は舞嬢じゃないですか!お久しぶりです」
「うん。貴方達がいるってことは…来てるの!?」
嬉しそうにキラキラとした笑顔を浮かべる舞にツナは話が理解できず不思議そうに首を傾げるのであった。
ツナはこれはまたリボーンの仕業だと思い急いで2階に駆け込んだ。部屋の中にも黒服の男達が数人おり、そこにはリボーンの姿もあった。
「待ってたぞ。ツナ」
「いったいこれはなんなんだよ」
「いよぉ。ボンゴレの大将」
「!?」
ツナに声をかけてきたのは椅子に腰をかけているツナの見知らぬ人。思わずその綺麗な顔立ちに息を呑んだ。ブロンドヘアーで瞳の色も同じ。ぱっちりな二重に凛々しい眉、スッと通った高い鼻で誰が見てもかっこいいと思われるような人であった。
「はるばる遊びに来てやったぜ。俺はキャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノだ」
「な!?」
ファミリーのボスと聞いてツナは顔を青くする。またマフィア関係の人なんて冗談じゃない、という表情だ。そこに弾丸のような速さで部屋に入ってくる少女がいた。
「ディーノ!!!」
「お、舞じゃねぇか!!」
「会いたかったよ!!」
「えっ!!?」
舞は勢いよくディーノに抱き着き、突進されたディーノも舞を受け止め腰に手を回した。そして優しい手つきで舞の頭を撫でる。その瞳はまるで愛しい子をみつめるような甘いものであった。そんな2人の熱い抱擁を見ていたツナはほんのりと顔を赤く染めた。
「俺も会いたかったぜ」
「来るんだったら連絡くれればいいのに」
「悪いな。今回はボンゴレ10代目の視察のためにやってきたんだ」
ディーノは舞はクルリと反転させると自分の膝の上に彼女を座らせた。それでも腹に手を回しギュッと抱きしめたままだ。まるで彼女が自分のものであると誇示するように。されるがままの舞も久しぶりの再会に嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「こりゃあダメだな!」
ディーノは視線を舞からツナへと移すと吹き出すように笑い声をあげた。ツナは何を笑っているのかわからず唖然とする。
「オーラがねぇ。面がまえが悪い。覇気もねぇし、期待感もねぇ。幸も薄そーだ」
「足が短けぇ」
「ボスとしての資質ゼロだ」
「(初対面でいきなりダメだしー!!?)」
初対面であるにもかかわらずボロクソに言うディーノの言葉に黒服の男達は大笑いしツナは恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
「コラ、ディーノ。あんまりウチのボスいじめないで!」
「…!、わ、悪りぃって。そんなつもりじゃねーから怒んなよな」
ディーノを見上げながら軽く眉をひそめ頬を膨らます舞であったがディーノの位置からでは上目遣いにしか見えず思わず胸を高鳴らせた。
「おいリボーン!なんなんだよ。このヤバイ連中は!」
「ん。ディーノはお前の兄弟子だぞ」
「そうだよ!ツナ君と同じなんだ!」
「は?」
理解不明な発言の数々にツナは思わず素っ頓狂な声が出た。どーいう意味…!?と混乱するツナに舞はクスクスと笑い声を零した。
「悪りーことばかり言ったが気を悪くすんなよ。ボンゴレ10代目。俺もリボーンに会うまでボスの資質なんてこれっぽっちもなかったんだ」
「え?リボーンに会うまで?……て、まさか…?」
ツナの予想通り、リボーンは以前ディーノをマフィアのボスにするべく教育をしていた。そして教え子のディーノは今、5千のファミリーを持つ一家の主としてまで成長をしたのだ。
「本当はリボーンにもっと色んな事を教わりたかったがお前の所に行くっつうんで泣く泣く送ったんだぜ」
「(リボーンの元教え子なんて…またスンゲーヤバイ人来ちゃったんじゃないの…?)」
「そうそう。ディーノなんて、リボーンがいなくなってから暫く落ち込んでたんだから」
「な!、変な事吹き込むなよな!」
「だって本当の事をだもん」
お互い気づかい無しに楽しそうに言い合う2人。一体、舞ちゃんとはどういう関係なんだろう。2人の姿を見ながらツナは首を傾げたが、今は目の前にいるディーノに言わなければならないことがあるとゆっくりと口を開いた。
「あの…さっきから誤解してるみたいですけど、ぼくはマフィアのボスになる気なんてサラサラないんです」
もしかして怒鳴られるだろうか。ツナがビクビクとしているとディーノからは何故か笑い声が聞こえてきた。
「ハハハ。リボーンの言う通りだ!こいつ昔の俺にそっくりだな!」
「え"!?」
「俺も最初はマフィアのボスなんてクソ喰らえと思ったもんだ…ハナからマフィアを目指す奴にロクな奴はいねー…お前は信用できる男だ」
「え!いや…でも僕は…!」
気に入って貰えるのは嬉しいが信用されても困る。ツナは必死に否定をするが、ディーノはいきなり顔色を変え懐に手を忍ばせた。
「一生やらねーっつーんなら」
「ひっ」
「噛むぞ」
「うわぁ〜!!」
「エンツィオ久しぶりだね〜!」
拳銃を出されると身構えたツナであったがディーノが出したのは亀であり、予想外の出来事に新喜劇のように後ろへ思い切り倒れた。ディーノが出した亀の名はエンツィオと言い、リボーンにレオンの代わりで貰ったと言う。
「ガハハハハ。枝付きブロッコリーだぞ〜!」
「またあいつら…!」
笑い声と共に新たにツナの部屋へ入って来たのはランボとつい最近に並盛へやって来た、イーピンだ。ランボは手榴弾を持ちながら走っており、危ないからとツナが注意をする。するとランボはつまづいて転んでしまった。その勢いで手榴弾の栓は抜かれ本体は窓の向こうに。
「やべーな。外にはディーノの部下がいるぞ」
「あっ。そーいえば」
「(ディーノがいるから大丈夫だな…)」
ツナが焦る中、いち早く飛び出したのは舞が信頼をしていたディーノ。彼は窓から飛び降り自分の武器である鞭を大きく振り払い全ての手榴弾を空で爆発させた。勿論、部下に怪我などは一切させずにだ。
「またボスのやんちゃだな!」
「1日1回はドッキリさせやがる」
「今のはちげーよ」
危ないことがあったにもかかわらずファミリー内の空気は軽い。きっとこれはボスと部下の信頼関係から作られる特別なものだろう。そんなディーノ達をツナは自室から憧憬の眼差しで眺めていた。
「………あの人カッコいい…」
「ふふっ。ちゃんとボスだからね」
「わかったか?ファミリーのために命をはるのがマフィアのボスだ」
「なんでもかんでもそこに結びつけんなよ!!」
それからリボーンが誘いディーノはツナの家に泊まることとなった。何故か舞も一緒にと誘われ彼女も泊まることに。
「よっしゃ。んじゃーボンゴレに説教でもたれるか」
「お…俺のためにーー。そ…そんなぁ〜っ」
「よなったな。ツナ」
すっかりツナの中でディーノは憧れの対象だ。そんな人物が自分のために話をしてくれる。嬉しくない筈が無い…とツナは顔を赤らめるのであった。
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