そして今日はリボーンの1歳の誕生日。放課後になると皆して早急にツナ宅に集合をしてパーティーを開催する。机の上にはお菓子やジュース、山本が持ち寄ってくれたお寿司が並べてあり、それを囲むようにして皆で座った。
「山本君家からお寿司を頂いたのよ」
「おお!!山本ありがとう!!」
「ハルとりわけます!」
「美味しそーっ」
「ご・ち・そ!ご・ち・そ!」
「うざいと殺すわよ。アホ牛」
皆が集まれば賑やかになるのはいつもの事。だが、ツナは何かいつもと違う違和感を感じ首を傾げた。
「あ!!獄寺君!!」
その違和感の正体は獄寺であり、獄寺は隅の方で青い顔をしながら息をぜーぜーと乱していた。ビアンキの前だと体調最悪だった、ツナは思い出し獄寺に声をかける。
「獄寺君大丈夫…?」
「俺は10代目の誕生日覚えてましたよ………無念です」
「え?」
最後の言葉を口にすると獄寺は力尽きたようにバタリと倒れ意識を飛ばした。
「今日これでおしまいーーー!!!?」
「なになに?獄寺、調子悪かったのに来てたの?無理しなくてもいいのに」
「そうはいかないわ」
「ボンゴリアン・バースデーパーティでは不参加は不利だからな」
「ボンゴリアン・バースデーパーティ………?」
ボンゴリアン・バースデーパーティとはボンゴレファミリーが催さなければいけない決まりであって、このパーティーは奇数歳の誕生日に行われる。ルールは誕生日を迎える主役が参加者の用意した“プレゼント”や“出し物”に点数をつけるというもの。そして一番高い点数を取った参加者は主役から豪華プレゼントをを貰えるのだ。
「そして最下位は殺されるんだ」
「んなーーっ。なんだよ、それ!なんで祝いに来て殺されなきゃなんないんだよ!!」
「掟だからだ」
「納得できるかー!!」
ツナがいくら反論しようと変わらないことは理解できるが理不尽でしょうがない。だが山本が、まーまー子供の遊びだから…と、いつもの通り遊びだと言いながらツナに激励をした。
「ちなみに山本は寿司を持って来てくれたから80点だぞ。点数はボンゴレジャッジボードに貼られるからな」
「一体どこからこんなものを…」
「80点ならなかなかなんじゃねーの?」
それから皆、思い思いのプレゼントや出し物をリボーンへ贈った。ハルはターゲット柄の白いスーツで85点。ビアンキはピザの生地投げで90点。これはポイズンクッキングの一種で回している生地が周りの家具なども切り裂いていく恐ろしい技だった。ランボはよくわからない棒で1点という厳しい点数を受け取っていた。
「次は、あたしの番ね」
舞は背後に置いていたプレゼントを持って立ち上がりリボーンの前に行き差し出す。結構大きなプレゼントだ。
「ハッピーバースデー、リボーン。これどうぞ」
「サンキュー舞!エスプレッソは俺の大好物だ」
「えへへ。これで好きな時に飲んでね」
舞がプレゼントしたのはエスプレッソマシン。リボーンがエスプレッソ好きだと知っていた舞は、これしかないと決めていたのだ。リボーンにも満足してもらえたようで嬉しそうに顔を綻ばせた。
「95点だ」
「やったっ!」
「さすが舞ちゃんです」
「すげーのな」
これで1位は今の時点で舞だ。そして次はツナの番。リボーンは、棄権するなら0点で殺すからな…とツナに銃を向けた。
「な、そんなメチャクチャな!!」
「嫌なら何か見せてみろ」
「そんな。出し物なんてないってばーっ」
あああ、どーしよ。リボーンの誕生日が今日であることを知らなかったツナはプレゼントも出し物も何も用意をしていない。しかし、やらねば殺される。そんな焦るツナに天の声がかかった。
「10代目俺と組みましょう!」
「獄寺君!」
先程まで倒れていた獄寺はなんとか復活を果たしツナの傍へ寄った。まだ、ヨロケてはいるが体調が悪くなる原因であるビアンキは今、料理をしに席を外しているため意識が保てるようだ。
「俺の出し物は手品です!」
獄寺とツナが組んで始めたのは手品。何処から出したのか結構本格的な箱が出てきたので舞は、すごいっ!と始まってもいないのに目を輝かせた。
「タネも仕掛けも無いこの箱に…このように10代目を閉じ込めます」
「わー。本格的だなーっ」
「そして、このように良く切れる剣を突き刺します」
その切れ味は大根がスパッと切れる程で見ているハル達はドキドキと緊張の眼差しをツナ達に向けた。
「じゃあ10代目上手くよけて下さいね!」
「え"!!!」
「え、本当にタネないの!?」
手品を普通に楽しんでいた舞の顔も一転。獄寺の無茶振りに一気に不安気に瞳を揺らしたが、1番驚きショックを受けたのは共に手品をしているツナだ。
「俺は無理だって言って断ったんだけどな」
「(それで朝ケンカしてたんだー!!)」
「山本のアホは無理でも10代目ならできますって!」
「いや!ムリムリ!そーゆう問題じゃなくて!!」
獄寺は至って真面目に言っている。だからこそツナは自分の身を案じているのだ。俺が右目を瞑ったら右側ですから、とキメ顔で自信満々に豪語する獄寺。本格的にツナのピンチだ。
「ストップ!中止!これじゃあ、どっちみち死んじゃうよーっ」
「その通りだ。じゃあ、死ね」
ズカン、とリボーンが突然にツナの額に死ぬ気弾を撃ち込んだ。
「復活!!死ぬ気でマジック!!」
死ぬ気になったツナは叫びながら獄寺の剣を奪いそれを思い切り自身が入っている箱へ刺した。
「ツ、ツナ君っ!?」
「キャアアア」
「ぐびゃーっ」
ツナの部屋に悲鳴が響き渡る。だがツナは止めることなく何本もの剣をグサグサと刺していった。流石の獄寺も山本も心配の声を発する。
「じゅ、10代目!?」
「大丈夫なのか!?」
全ての剣が刺し終わりあまりの出来事に暫しの沈黙。皆は目を丸くしながらツナをじっと見た。すると、箱のナイフを刺した部分から徐々に亀裂が入っていく。そして完全に箱が壊れ露わになったのは狭い箱の中で全てのナイフを避ける体勢をとっていたツナ。
「うおっ」
「さすがっス!」
「ひゃあああっ!!」
「凄すぎなんだけど!」
「100点だぞ」
だが死ぬ気モードが解けた途端にツナの体は、グキっゴキっなど悲惨な音が鳴り、ツナの悲鳴が家中に木霊するのであった。
「いででででで!!いたーい。体が折れるぅ〜〜!!」
こうしてツナは明日の誕生日を病院で迎えることとなった。これは余談ではあるが次の日、舞は病院まで行き獄寺と共に選んだプレゼントを渡した。あげたのはオレンジと黒のカッコいいシューズ。ツナはとても喜んでくれ、獄寺と選んでよかったな…と満足そうに笑うのであった。
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