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保育係


そよぐ風が段々と冷たくなり並中の制服も冬服使用となる近頃。ツナ達いつもの4人組は昼休みに中庭へとリボーンに呼び出されていた。


「何スか10代目?」
「小僧に呼ばれたんだが」
「何かやるの…?」
「いや…」


話が違う。と小声でリボーンに耳打ちするツナ。獄寺達は何も聞かされていないが今日集まったのはランボの保育係を決めるため。リボーンが保育係を紹介してくれると言ってツナは来たのだがいざ来てみれば候補となったのはいつも3人であった。


「つーか舞ちゃんはともかく獄寺君達が候補ってどうなの〜!!?」


するとこの集まる原因となった人物の高らかな笑い声が背後から耳に入った。


「ランボさん登場ーーっ!」
「(こんな時に〜…)」
「またうぜーのが来やがった。ションベンタレはすっこんでろ」
「ちっ、ちがうもんね!もらしたフリしたんだぞ!騙されてんじゃねーぞ。馬鹿者共ォ!」
「てんめ〜っ!いっぺん痛い目みなきゃわかんねーみてーだな!」


獄寺とランボはいつもこの調子だ。まだランボは小さな子供なのだから気にしなければいいと思うのに獄寺は突っ掛からずにはいられない。そんな2人のやり取りをまるで兄弟みたいだな、と舞は微笑ましく眺めていた。


「んじゃ、ランボの保育係の適正テストを始めるぞ」
「なっ」


適正テスト…?と獄寺達は目を丸くする。本当にやるのか、とリボーンにツナは言うが1度言ったら聞かないのがリボーンだ。


「こいつの保育係ってのは遠慮しときます。俺、コイツ大嫌いなんで」
「俺はいいぜ。今日は何の遊びだ?」
「(山本節でたーっ)」
「あたしも別にいいよ。ランボ君可愛いし」


獄寺だけが保育係を断ったがリボーンが次に発する言葉ですぐに寝返りを見せる。


「ちなみに保育係になった奴がボスの右腕だからな」
「そりゃいーな」
「あたしも賛ー成!」
「な、右腕…!俺…本当はランボ大好きです」


獄寺が無理して言っているのは火を見るより明らかだった。ルールは至って簡単。先程、獄寺との喧嘩で泣いてしまったランボを笑わせるというものだ。
ツナはそんな勝負3人がやる訳ないと嘲笑うが予想を反して皆はやる気に満ちているのであった。


「山本、チビ女。テメェ等には負けねーぞ。今日こそ白黒はっきりつけてやる」
「よっしゃ。やるからには勝たねーとな」
「あたしだって負けないから!」
「(は…白熱してるー!!!そーゆー勝負じゃないと思うんだけど)」


先攻はランボを毛嫌いしている獄寺から。先ずはランボに歩み寄る所から始める。イラつく気持ちをなんとか抑え顔を引きつらせながら手を伸ばした。


「さっきは悪かったな。仲直りしよーぜ」
「えっ、えっ。んっ」


仲直りの握手に応じたのかと思えばランボが差し出したのは手榴弾。獄寺は慌ててそれを投げ飛ばし、ランボはしてやったりと笑った。


「やっぱテメェ死んでこい!!」
「ぐぴゃあっ」


怒りが抑えきれなくなった獄寺は手加減無しでランボの首をしめかかった。それをなんとか山本とツナが止める。しかし、ランボは笑うどころか益々大声で泣き出してしまった。


「次、山本だぞ」
「オッケー」


2番手は子供に好かれそうな山本。そんな山本に対しツナとリボーンの期待も高まる。


「お前キャッチボールやったことあっか?グローブでこのボールを取るんだぜ」


流石野球部のホープである山本だ。ランボも興味を示したようでグローブを手に取り泣き止んだのだ。


「ほらいくぞ。そー…」
「ん」
「れっ!!」


しかし、優しそうな笑みを浮かべていた山本は一転して目つきを変えものすごい豪速球を投げたのだ。そのボールはランボの頬に直撃し先程よりも大号泣。どうやら山本は野球の動作に入ると加減ができなくなるようだ。


「山本にこんな恐ろしい一面があったなんて…」
「あいつ初めていい仕事しましたね」
「じゃあ次はあたしだね!」


最後の挑戦者は舞。ツナも一番保育係に向いているであろうと考えていたのは彼女だった。舞は柔らかな笑みを浮かべながらランボに目線を合わすようにしゃがみ込み優しく頭を撫でた。


「ねぇランボ君。男の子が簡単に泣いちゃいけないんだよ」
「ん?」
「男の子はね強くてとってもカッコいいの。ランボ君もそうでしょ?」
「あ、当たり前だもんね!ランボさんは超強いマフィアのボスになるんだもんね!」
「よし、いい子だよ」
「俺っちがボスになったら舞をお嫁さんにしてあげる!」
「ふふ。じゃあ楽しみにしてるね」
「「(手懐けたーーっ)」」


余りにも一瞬でランボを手懐けた舞にツナと獄寺は驚きが隠せない。山本は、すげーのな…とニカッと笑っていた。


「舞の奴やっぱ保育係に向いてるな」
「確かに…」
「じゃあチビ女が右腕…?」


獄寺は辛い現実に思わず加えていたタバコをポロっと落とす。しかし舞とランボの相性の良さは誰が見ても明らかだった。その時、頭を撫でていた舞の手にブーンと1匹の虫が乗った。刹那、舞の顔色が変わった。


「き、きゃあああああ!!」
「ぐぴゃあっ!」
「ええっ!!」


虫に驚いた舞がその虫を払おうと自身のの武器であるヌンチャクを取り出し振り回した。しかし、あろう事にヌンチャクはランボにヒットしてしまったのである。


「うわああああっ」


折角泣き止んだのにまたも号泣のランボ。最早、ランボの方が気の毒だが舞は壊滅的に虫が苦手だったのだ。


「うお"っ」
「虫やだやだっ。お願い、助けてっ」
「お、おい!離しやがれっ!つーかひっつくな!!」


獄寺は舞に向かって叫ぶ。それもそうだろう。舞は虫のせいで気が動転したのか獄寺の首に手を回し抱き着いたのだ。だが、いくら離せと言っても舞が離れることはない。獄寺が抵抗すれはするほど抱き着く力を強めるのだ。


「(く、くそ…!む、胸があ…当たってんだよ!)」


ぴったりと隙間無くくっつくので獄寺の体には女性特有の膨らみが否応無しに当たってしまう。それに耳元に触れる舞の吐息でぞくぞくと心臓を震わせ平常心を呑み込まれないように必死に理性を保つのだった。



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